演奏の基本は「点」

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 私たちは3次元の世界に生きています。「縦・横・高さ」簡単に言えば「立体の世界」です。「1次元」は「点」だけの世界です。当然動きはありません。
 もう一つの「時間」という概念で考えると、秒・分・時間・日・週・月・年などの単位で表されますが、日常生活で「秒」よりも小さい単位の時間を意識することはありません。「一秒間に〇△回の動き」と言う言葉を機ことはあります。例えば、空気が一秒間に442回振動する音が「A」と言う使い方があります。メトロノーム記号で♩(四分音符)=120と書いてあれば、一秒間に2回♩が演奏される速さを表しています。

 上記の二つ「動き」と「時間」を組み合わせて考える時、「一瞬で止まる」とか「突然動き出す」という表現ができます。また「少しずつ速く動く」「だんだん遅く動く」とも言います。
 動きを「止めている」状態で「一秒間」待つ場合、動きは「点」であり、時間は「一秒間」です。
 一秒後、「動き出す」速度が速くても遅くても、動き出す「瞬間」が存在します。時間の「点=瞬間」です。
 動き出して=音が出始めてから「一秒後」に運動を「止める」場合、だんだん遅くなっていも突然止まったとしても「境目」があります。これも「点=瞬間」なのです。

 要するに「動き」には「静止」と「動き」があり、時間には常に「点」が存在することになります。時間が止まることはないのです。常に「時」は動いています。sの細かさをどれだけ細かく感じられるか?が大きな問題になります。時間の点=瞬間を意識するためには、その点の「前」に点を意識することが必要になります。聴いている人には「突然の瞬間」でも、演奏する人には「準備して決めた循環」なのです。
 音を出す瞬間・音を止める瞬間は、常にすべての音に存在します。レガートの途中の音であっても、無音の状態から最も小さい音で演奏し始めても「点」は存在します。
 「音を出す仕組み」は楽器によって違います。ヴァイオリンの場合は「弓の毛が弦を擦って動き出した瞬間」に音が出始めます。ピチカートなら「弦をはじいた瞬間」です。
弓で音を「止める」点もあります。弓の動きを「止めた瞬間」と「反対方向に弓を動かす瞬間」です。多くの生徒さんは「弓を止める」ことに意識がありません。また、運動を「止める」事がうまくできないのもアマチュアによく見られ宇ことです。「弓を動かし始める点」と「弓を止める点」を両方とも意識することです。

 音を出し「始める=動き出す」「終わる=止まる」「瞬間」を予測し、必要な準備の運動を「いつから?」始めるのかを考えることです。この「いつ」も時間です。音が出るよりも前の時間=瞬間から準備の運動が始まります。
 指揮法で言えば「直接運動」です。腕(指揮棒)が動いた瞬間にオーケストラ音を「出す」運動です。そのために点を「予測させるための静止るる時間」が必要になります。「先入=せんにゅう」と呼ばれます。演奏にも同じような「法則」を考えていけば、思った時間に思った音が出せるようになっていきます。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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