職業音楽家と趣味の音楽家

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 映像は「ただ憧れを知る者だけが」をヴィオラとピアノで演奏した動画です。
 今回のテーマ「職業」で音楽を演奏する人と「趣味」で音楽を演奏する人の共通点と違いについて考えます。
 一般に「プロ」と「アマチュア」と言う言葉がありますが、プロ(プロフェッショナル)を「専門家」と捉えることもできますので、敢えて「職業」と言う概念で考えてみます。

 職業として音楽を演奏することを、もっと現実的に言えば「演奏で生活をする=生計を立てる」という人になります。演奏のジャンルを問わず、演奏「だけ」で生活する人、もしくはほとんどの収入を演奏で得ている人を「職業音楽家」としてみます。団体に所属して給与を毎月もらって生活する「職業音楽家」もいれば、毎回演奏するたびに報酬を受け取る人もいます。どちらも同じ職業演奏家です。
 一方で「趣味の音楽家」は、演奏で生計を立てていない人、あるいは演奏以外に生活する収入を得ている人で「演奏をする人」と言う広い定義で考えてみます。人前で演奏する人もいます。自宅だけで演奏を楽しむ人もいます。生活するための「お金」は他の仕事で得たり、年金だったり「遺産」だったりと様々です。成人していない子供の場合でも、演奏だけで生活費をすべて稼ぐ人であれば「職業演奏家」と言えますが日本では「保護者」が法的に必要ですので現実的には「趣味の演奏家」と言うべきです。

 ここで、いくつかの項目に分けてそれぞれを比較してみます。
1.演奏技術のレベル
・職業音楽家の方が必ず上手とは言えない=趣味の演奏家の方が下手だとは言えない。
・職業演奏家は「演奏の依頼主」や「聴衆」に技術を認めてもらえないと生活できない。
・趣味の演奏家は誰の評価も必要とせずに演奏を楽しめる。
つまり職業演奏家と趣味の演奏家の「どちらがうまい」と言う定義はないのです。
 職業演奏家より技術の高い「趣味の演奏家」は世界中に数えきれないほどいるはずです。ただその人の演奏が「表に出ない」場合もあるのです。逆に職業演奏家の演奏は「誰かに聞いてもらう」ことで初めて収入を得られます。
2.演奏の「自由度」
・職業演奏家の多くは「依頼主の提示したプログラム」か「集客力の高いプログラム」で演奏することになります。
・趣味の演奏家は、自分の好きな曲を好きな時に、好きなように演奏できます。
3.演奏する喜び
・職業演奏家は自分の好きな音楽でなくても演奏する必要があります。時には「嫌でも」演奏することが求められます。
・趣味の場合、レベルは様々ですから本人の達成感も大きな差があります。ただ「好きだから演奏している」のは間違いありません。嫌なら違う趣味に乗り換えれば良いだけです(笑)
4.修得すべき技能・知識と学歴・経歴
・結論を言えば、職業でも趣味でも「肩書より実力」です。特にここ数十年、世界中で「音楽大学卒業」は職業音楽家になるための「必須要件」ではなくなりました。むしろ、多くの知識と演奏以外の見識を持った職業演奏家が年々増加しています。逆に、音楽大学を卒業して「趣味の演奏家」になるケースも増加しています。

5.音楽に関われる時間
・職業として演奏する場合には「練習・準備」と「リハーサル・演奏会」に多くの時間を必要とします。むしろ「充実した生活」とも言えます。
・趣味で演奏する場合、生活のための仕事がある人がほとんどです。家事や育児もその一つです。自分の時間を見つけることが難しく、体力的にも楽器を毎日演奏することも難しいのが現実です。中には仕事をリタイアし、のんびりとした日々を送ることのできる高齢者も「少し」いらっしゃるのも事実です。その方たちにとって「趣味の音楽」は生き甲斐にもなり得ます。

こうして比較してみると、職業として演奏家になることは「毎日演奏できる」と言う点以外では、趣味で演奏を楽しむことの方が自由に演奏を楽しむことができる喜びを感じられることになります。「プロになる!」と夢をもって練習することは素敵なことです。しかし多くの場合「挫折」によって楽器を演奏すること自体から離れてしまいます。楽器を演奏したいという「目的」がいつの間にか「音大に合格する」ことや「コンクールで優勝する」ことが目的になってしまう悲しいケースです。
 趣味と割り切って練習する人の多くが「プロのようにうまくならなくてもいい」という間違った先入観を持っています。先述のように「プロよりうまいアマチュア」は世界中に居るのです。音楽大学やコンクールは「うまくなるための条件」ではないのです!
 自分の好きな音楽を、好きなように演奏する技術を身に着けるために「長い時間」が必要です。それを「苦労」と考えるのなら楽器の演奏には向いていないかも知れません。練習そのものが「楽器を演奏する」ことでもあります。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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