音楽を3D(3次元化)する

このエントリーをはてなブックマークに追加

 映像は村松崇継さんの「アース」をヴィオラで演奏した冒頭部分です。
最初の映像は演奏動画、その次に「楽譜」、その後にある謎の映像(笑)
眼の悪い私が手探りで作った「なんちゃってアニメーション」です。
精度の低さはお許しくださいませ。
 さて今回のテーマですが、音は「聴覚」で楽しむもの…ですが、演奏する立場で考える時、楽譜を読み、音にする過程で「音の高さ=音名」や「リズム」「テンポ」と言った時間の感覚、音の大きさと音色、さらには腕や指の動きをすべて「同時」に処理しています。単に「聴覚」だけを使っていないことは確かです。
同時に起こることを「時間」で考えると、ある一瞬に私たち演奏者が考えていることが複数あります。例えば「音の高さ」「音の大きさ」「音の長さ」…本来、長さは音の大きさの概念に含まれますが、音楽では「リズム・テンポ」と言うひとつのカテゴリーがあるので敢えて「長さ「」「大きさ」を別のものとして考えます。
 映像の最期の「●」が上下に動きながら、大きくなったり小さくなったりしていることが、何を表しているか?アニメーションがうまく出来ていないのでわかりにくいですが(涙)、垂直方向に「音の高さ」、●の大きさが「音の大きさ」で、その変化の様子が「時間」を表します。
 言語化することが難しいのですが←結局説明できていない(笑)
演奏する「音」が、演奏者に向かって前方から流れるように、連続的に近づきさらに次の音が近づく「連続」です。
その音の「高さ」が演奏者の「上下」だとイメージします。
大きさは近づいてくる「●」の大きさです。
さらに今回は作れませんでしたが「色」も感じることができます。
たとえば「重たいイメージ」を赤色、「冷たいイメージ」を「青色」などで色付けすることも映像として可能です。
 音が自分に近づいてくる感覚と、自分が止まっている「音」の中を進んでいく感覚は、視覚的には同じ感覚に慣れます。
 歩きながら撮影した映像は、止まっている自分に周りの景色が近づいてくる「錯覚」を利用しています。実際に自分が歩く時に見える景色は、実際には自分が動き景色は止まっていることになります。
 連続した「音」が前方から近づいてくるイメージは、次に演奏する音を予測することができます。その「音」を演奏するために必要な「高さ」や「音色」「指・腕の動き」も想像することができます。

 楽譜や映像は「2次元」の世界で表されています。ご存知のように現代の科学で「上下・左右・奥行」の三つが私たちの感じられる「次元」だとされています。「点」しかないのが「1次元」です。「線」になれば「前や後ろや左や右」があるので「2次元」です。さらに「上と下」が加わって「3次元」になります
難しいアインシュタインの相対性理論は理解できなくても、日常私たちが生活する「3次元」の世界ですが、音楽は目に見えず、触れることもできない存在です。奥行や高さ、幅と言った概念が「音」にはありません。
なのに「もっと奥行のある音で」とか「幅広いイメージで」と生徒さんに伝えることがあります。つまり「聴覚」で感じる音を「視覚」や「触覚」に置き換えることを私たちは何気なく行っているのだと思います。
 前から自分に吹いてくる「風」が身体の「どこか」に吹いてくるイメージを持ってみます。
・「弱く」「長い時間」「暖かく」「おでこ辺り」に感じる風
・「強く」「短い時間」「冷たく」「首辺り」に感じる風
この二つの違いを「音」に置き換えることもできますよね?
これが「音」を私たちの「触覚」に置き換えた場合です。
 音楽を「楽譜」や「音」だけに限定して考えるのは、私たちが持って生まれた「五感」の一部だけを使っていることになります。しかも楽譜は記号の羅列でしかありません。それを音にして、さらに音楽に作り上げていく演奏者が五感のすべてを使って、音楽を感じることは有意義だと思っています。
 わかりにくいテーマで申し訳ありませんでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です