ヴァイオリンケースを選ぶとき、どんなことに重点を置きますか?
私、野村謙介は「ケースマニア」を自称しております。あくまで自称ですので。
そもそも、ケースは何のために、いつ使いますか?
「楽器を持って移動するとき」「保管するとき」
雨の日、楽器をもって出かけるのは気を使います。大きな傘をさしても風が吹くとケースはびしょぬれ(涙)
雨に濡れたケースから、雨水が中に入る(染み込む)と楽器が濡れます。致命的です。
ケースそのものをカバーする「ケースカバー」が市販されています。最近の製品は、ケースを背負ってもカバーできるように作られています。ただ、
「たかい!」
一番安くて、かつ、かっこ悪い(ダメだけど)防水対策は「45リットルポリ袋」です。
もちろん、90リットルサイズでも。使い捨てるもよし。ゴミ袋として再利用するもよし。しかし、白色・黒色は街中でかなり!目立ちます。透明なものをお勧めします。
ケースカバーがない状態で、ケースが雨にぬれるとどのくらい、中に染み込むのか?
自分の楽器とケースで実験したくないですよね!わたしも当然。でも
やった人たちがいます。
実は私、ヴァイオリンケースを開発・製造・販売までしたことがありまして、その時の製造メーカーが各社のケースを新品で買い求め、ホースで水を30分かける!という過酷なテストを行いました。結果‥
どんな高いケースも中に水か染み込みます。
ただ、その量はケースによって大変な違いがありました。
どの製品が?
申し訳ありません。はっきり申せませんが。
「値段が一番高いケースがよいとは限らない」
ケースの主素材がカーボンであっても、FRPであっても、「開口部(咬合部)」「ヒンジ部」から水が入ります。ケース表面主素材が布地の場合、生地が撥水加工してあっても次第に水が染み込んでしまいます。
ファスナー(ジッパー)が防水と、うたわれていても、水が入ります。
結論。雨の日は、カバーをかけましょう。
ケース選びのポイントその2。
「堅牢性(丈夫さ)」です。
満員電車の中で、抱えて持っている楽器ケース。他の方の「じゃまなんだよっ!」という無言の圧力と視線に耐えたとしても、実際、人に押される圧力に耐えられないケースもあります。
昔のケースは木枠に布カバーをつけた構造でした。高いケースはとにかく丈夫でした。長いバス移動の際には足元に置いて足を載せていられたそうです(汚れを気にするとできません)
発泡スチロール素材のケースはあっさり潰れます。楽器を守れなければ「ケースではない」
次のポイントは「重さ」
軽くするためにはどうするか?
素材を軽くする&パーツを軽くする&余分なパーツをつけない
軽い素材は?「炭素繊維(カーボン)」です。が!
実はカーボン繊維は同じ厚さ、同じ面積だと他の樹脂素材(FRPなど)より重いのです!これホントです。
ただ、強いのです。FRPで、ある硬さ(強さ)を得るために必要な厚みを、カーボンではずーーーっと薄くて硬さが出せます。つまり
カーボンケースは本来強いケース
なのです。軽いケースと思い込むより本来丈夫なケースなのです。
重さはカタログ数値より、実際に手にしてみないと実感できません。
カタログにかけない、バランスとハンドルの形状、ケース全体の凹凸計上で重くも軽くも感じます。ケースを楽器店で選ぶとき、ぜひ、楽器・弓・小物を入れてみて、手にもって比べてください。必ず違いがあります。
色・かたち
これは好みなので、あえて触れません(笑)が、ケースを開けたときに、蓋(ふた)が完全に向こう側に開ききるタイプ(日本以外はこちらが主流)と、90度に開いたところでひもがストッパーになるタイプがあります。一長一短です。これもお好みで。
色のバリエーションが多いものと少ないものもありますね。これもお好み。
実は一番、気にしてほしいポイント
留め具の「開き、にくさ」・‥開きにくいほうがいいのです
知らない間に留め具が外れ、背中でケースのふたが開いていた!これ、私の経験です。
鍵がかかる留め具もあります。ダイヤル式なら問題ないですが、「鍵」を使って開けるタイプは、忘れたら壊すしかありません。
簡単に開けられる=あいてしまう!
ファスナー(チャック)式だったころには考えられない事故です。
カーボンなどの樹脂製ケースの場合、留め具に注目してください。
ちなみに私はヴィオラのケース(BAM)の留め具を改造して、フライトケースに使われるロータリー式に取り替えました。動画もございます。
改造ビオラケース
私の「お気に入りケース・トップ3」
第1位‥自分で開発したケース(すみなせん!生産販売終了していて入手は困難です)
第2位‥BAM社製ハイテックシリーズ
第3位‥フューメビアンカ(白川総業)
そんなところですね。あくまで、好みの問題ですが、
良いケースを持ちましょう!
メリーミュージック
野村謙介