演奏家の「欲」を考える

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 映像は仏教の「知足=ちそく」を説いた動画です。
カルト宗教ではございませんので(笑)、安心して一度ゆっくり最後までご覧ください。
・「欲」を持つことは悪い事ではなく必要なこと
・他人と比較し、他人から得られる「満足」とは違う「知足」
・自分がすでに持っているもの=自分の「足る」を「知る」ことが知足
聞いていて素直に「あ…」と気づかされるお話です。
私は仏教信仰もなく「物欲の塊」「歩く煩悩」「屁理屈ヴァイオリニスト」ですので、およそ悟りの境地に近づくこともできませんが(笑)それでも、ひとりの人間として「欲」があるのは自然なことだと思います。赤ちゃんが母乳を求めて泣くのも「本能」と言う「生きようとする欲」です。

 演奏家が持つ「べき」欲があると思います。自分の演奏技術・表現力を高めたい、もっと上手になりたいと言う「欲」のない人もレッスンに来られます。その生徒さんにも演奏技術や表現方法を伝えようとします。ただ、ご本人が自分の力を「通う評価」する人ほど、「無理」とか「できません」と言う言葉を口にされます。過大評価が良いわけではなく、まさに「自分の持っているものを知る」気持ちが大切です。自分の持っているものをさらに高めようとする「欲」がなければ「楽」かも知れません。それはそれで正しいので、お金を払ってレッスンを受ける必要はない…と言ってしまうと私は生活できません(笑)
 他人と比較して「隣の芝生」にあこがれている限り、本当の自分の演奏にはたどり着けないことは動画でも話されています。他人と「競争」するのは、単純に「意欲」を高められます。負けたくない!よく思われたい!下手だなぁと思われたくない!と言う欲望は、自分以外の「他人」を意識しているだけで、自分自身を観察していないのです。
 昨日のブログで取り上げた「コンクール」や、音楽学校の「入学試験」は、基本が「相対比較」で序列をつけることです。ある程度の「絶対条件」が含まれている部分もあります。例えば年齢の上限や居住地域などです。自分と「誰か」を「審査員」が比較し序列をつけた結果が「優勝」「入賞」だったり「合格」「不合格」です。優勝したい!合格したい!という「欲望」があることを悪いとは言えません。その過程で「他人と比較する」気持ちをゼロにすることは不可能だし、「自己評価」だけで優勝・合格を得ることは現実的には厳しいことです。それでも「自分の持っている良さを知る努力」「自分を高める努力」を大切にする指導も必要です。
得てして指導者は「そのレベルでは受からないよ」と生徒に言います。悪意はないでしょう。生徒の立場にすれば「他人より下手なんだ」と思い込みます。
生徒個人が持つ「良さ」よりも「他人と比較して足りない技術」を指摘しがちです。

 練習する時、自分の「欲」を意図的に抑えることも必要です。
その欲は「低く=できそうなこと」で「長期間」で実現する気持ちが必要です。
「え?高い欲を速く実現した方がいいでしょ?」と思いがちですが、自分に足りない技術・表現に気付いたのなら、一気にすべてを実現しようとすることを「欲張り」と言います。常に欲を持ち、短期間に出来るようになる「小さな目標=欲」を積み上げるべきです。「ローマは一日にして成らず」です(笑)
出来ない!と熱くなる時(笑)、やろうとしている=練習している内容の「量を減らす」ことと「ハードルを下げる」ことが大切な「コツ」です。熱くなったままで頑張るのは、身体に悪い(笑)

 欲を失う=意欲を無くす原因の多くは「気持ちが折れる」場合です。
折れやすい生徒さんの性格(笑)
・短気である
・好きな事へのこだわり=負けん気が強い
・なぜか?女性が圧倒的に多い
・折れやすいが、立ち直りも速い
・他人(親にも)思っていることを言葉にしない
・自分を責める
はい。上記で二つ以上「はい」と思ったあなたは、かなりの「ポッキー」(笑)です(笑)これら、すべてが「性格」ですので変える必要もなく、変えることは不可能ですから受け入れるべきです。自分を知る…と言う意味でも、それが自分なのですから、さらに足りない「何か」を探すことが大切なのです。
 今回も「屁理屈」だらけのブログを最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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