演奏する「環境」の違い

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 今回のテーマは、演奏する側・演奏を聴く側・企画する側それぞれから考える「演奏の環境」つまり「演奏する空間と時間」を考えるものです。
 10月7日夜、10月8日昼に同じ場所=会場で演奏しました。曲目は違いますが同じ楽器を使った演奏です。夜のコンサートは有料だったようで、翌日の方は無料。会場の木曽おもちゃ美術館が午後4時30分に営業終了した後、改めて会場に演奏を聴くために来られた方が「夜のコンサート」を聴いてくださいました。一方で昼の演奏を聴くために来てくださった方と、おもちゃ美術館に遊びに来た人が「混在」し、空間もつながり、子供たちが同じ空間で元気に遊ぶ中での演奏と言う「大きな違い」がありました。
 私たち演奏者も、その事は事前に知っていました。ただ、昼の演奏時に主宰する側が、どの程度の「音楽を聴く人」への配慮をするかは不明でした。簡単に言えば「演奏中に騒音をたてない」ことを主宰する側がどの程度配慮するか?という事です。

 純粋な音楽会・ライブであれば集まった人=聴衆はまさに「音楽を楽しむために集まった」のですから、その人たちがお互いに邪魔となるような行為は「マナー」として慎みます。演奏中に物音を立てないように気を遣うのも疲れますが(笑)それを承知でチケットを買ってまで音楽を楽しむ空間・時間です。
 カフェやレストランで「BGM」として演奏が行われることもあります。結婚式の披露宴などでもよく見る光景です。音楽をその場で演奏する人にとって「お仕事=演奏料」のために割り切れば、誰も演奏を聴いてくれていなかったとしても「お金はお金」と思えるかもしれません。ただ、その場にいた人の中で演奏が気になって「もっと聴きたいのに」と思う人もいるかも知れません。
 演奏の「目的」を考えて決めるのは「主催する側」です。演奏する側も目的を理解した上で「引き受ける」ことになるのが契約です。聴く側にしても演奏者が演奏をしていることの「意味」がわかっていれば問題はありません。披露宴なら「BGM」です。ディナーショーは?微妙ですが、恐らく音楽を聴くことが80~90パー程度でディナー=食事を楽しむのは「おまけ」的な存在ではないでしょうか?

「一流の演奏家」と呼ばれる方々は、演奏を聴いて楽しむだけの目的である「コンサート」以外は、引き受けないで生活できるのだと思います。そうした目的の「空間」では誰もが音楽だけを聴こうとします。
では「一流では無い演奏家(笑)」が聴いてもらえない演奏をする…のでしょうか?
そもそも主宰する側が、なぜ?生身の人間(笑)に演奏を依頼してまで「演出する」のか?という問題があります。今の時代「BGM」ならCDでもパソコンでも簡単に流すことができます。わざわざ、人件費を払ってまで「演奏する姿」を集まった人にアピールする目的ってなんでしょう?豪華さ?(笑)
 主催する人・企業・お店に対して「会場を静かにさせて」と言える立場の演奏家は、極わずかです。
だからこそ、演奏者を「雇う」側の人に言いたいのです。
 演奏者も人間だよ?と。CDやパソコンの「代わり」に人間を使うことで、演奏家がギャラを受け取れて生活できるのは、紛れもない事実です。
 ストリートミュージシャンが、路上で「投げ銭」を期待しながら演奏することがあります。
立派な「お仕事」です。なぜなら自分の意志で行っているからです。誰も聴いてくれず、素通りされ、鼻で笑われても演奏を続けることで自分のスキルをあげようとする「気概」のある人しか出来ない演奏です。一流と言われる演奏家が、自分のことを誰も知らない人たちが行きかう路上で演奏できるか?おそらくプライドが許さないでしょうね(笑)

 BGM音楽を音楽を演奏する人や、アニメーションのセルを一枚ずつ書く人、コンサートの裏で照明機材・音響装置を扱う人の「存在」を知らない人がたくさんいます。最悪!なことに、政治にかかわる人のほとんどが「裏舞台」を知らないことです。派手な世界・表舞台しか知らずに育った「ボンボン・ジョンジョン」(笑)が政治家になるのが日本の風習なので仕方ないのでしょうね。
 頭の弱い政治家は放置して、せめて音楽に「意味」を感じる人なら、音楽を作る人・演奏する人・支える人への最低限の敬意を持ってほしいと思うのです。それが出来ないのであれば、すべての音楽を自分で作曲し、パソコンで打ち込み、再生するべきです。
 演奏で生活している多くの仲間がいます。その人たちが、生きる意味・演奏する喜びを感じられる社会になってほしいと思います。また、それを子供たちに教えていくことも大人の責任だと思います。
 文化は人間の「知恵」で創られます。文化を創造できない人には何を言っても無駄です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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