オーケストラで楽しむ趣味

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 映像はメリーオーケストラ第41回定期演奏会で演奏した「いのちの歌」
村松崇継さんが作曲された曲を、メリーオーケストラのために田中大地さんにアレンジをお願いしました。リサイタルではヴィオラとピアノで演奏したこの曲、オーケストラで演奏すると違った感動が伝わってきます。

 オーケストラはクラシックを演奏するという「既成概念」があります。
一方で吹奏楽は「ポピュラーを演奏する」イメージが先行しています。
演奏形態=スタイルは、一人の人間だけで演奏するものから、オーケストラと合唱などが加わった「大人数」のものまでたくさんあります。楽器の組み合わせも様々です。吹奏楽…管楽器だけの演奏に読めますが、打楽器やコントラバス=弦楽器も通常含まれます。管弦楽…あれ?打楽器は?(笑)もちろん含まれます。
文字・言葉が思い違いを生んでいることもありますね。

 趣味で弦楽器、管楽器、打楽器を演奏する人にとって「合奏」は究極の楽しみだと私は思っています。もちろん、一人で楽しむことが一番!と言うかたもおられます。他人との人間関係が煩わしい…と思う気持ちも理解できます。
 ブームは去りましたが「カラオケ」は一人で楽しめる趣味でもあります。気持ちよく誰にも聞かれず、大声で歌うことが楽しいのでしょうね(笑)
 ピアノやギター、エレクトーンなどの楽器は、ひとりで演奏を十分に楽しめる楽器です。かたや、ヴァイオリンやチェロ、フルート、トランペットなどの場合hはひとりで演奏できる曲はごくわずかです。多くは「誰か」と一緒に演奏して初めて音楽として完成します。オーケストラは言うまでもなく、合奏の集大成です。
「初心者」だからこそ、誰かと一緒に演奏する楽しさが必要だと思います。

 オーケストラの「楽譜」の多くはクラシックと呼ばれる作曲家の曲です。
ベートーヴェン、モーツァルト、ブラームス、チャイコフスキーなど「有名」なクラシック作曲家のほとんどが、交響曲を書いています。ただ、これも当然ですが「聴いたことがない」交響曲の方が多く、演奏の難易度も高いのは事実です。
動画にあるような「ポピュラー」をオーケストラで演奏するのは「邪道」なのでしょうか?私はそうは思いません。どんな楽器で演奏したとしても音楽は音楽です。逆にどんな音楽でも、オーケストラで演奏できるはずです。
 ただし、ポピュラーをオーケストラで演奏するための「楽譜」が少ないのです。お金を出して購入できるのも、ほとんど海外のサイトからです。日本では需要が少ないのです。いのちの歌の楽譜は?当然、販売されていません。オーケストラの楽譜を書くためには、ただ音符や休符が書けるだけでは無理です。それぞれの楽器の「音域」と「音色」「音量」を理解していないと、書けません。作曲の技術と変わりません。
木管楽器=ピッコロ・フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット
金管楽器=ホルン・トランペット・トロンボーン・チューバ
打楽器=ティンパニ・バスドラム・シンバル・グロッケンシュピール他
弦楽器=ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス・ハープ
これらの以外にも、色々な種類の管楽器・打楽器がオーケストラには加わります。それぞれの楽器が2~3つのパートに分かれていることが多く、スコアは大変な段数の楽譜になります。下の楽譜はいのちの歌のスコア1ページ目です。

 当然、それぞれの楽器の演奏者は自分のパートの楽譜=パート譜を見ながら演奏します。指揮者はこのスコアを見ながら指揮をし、練習で音の間違いを正すこともします。いかがですか?スコアは演劇の「台本」のようなものです。全員のセリフが書いてあります。演劇と違うとすれば、同時に何十人もの人、25種類以上のパートが一斉に演奏します。演劇では…(笑)ないですね。
 このスコアに書かれているすべてを「編曲者」が考えて書きます。出てくる音を頭の中で想像しながら。素晴らしい技術・能力です。
 紙の上の音符が、数十名の人間、様々な音色の楽器で「音」になるのがオーケストラです。ひとりで演奏を楽しむこととの違いがここにあります。
一人ずつの責任は、ひとりで楽器を演奏するよりもはるかに大きくなります。
「たくさんいるから、一人の責任は軽くなるんじゃないの?」と思われますか?
逆なのです。ひとりが間違った音や、間違った場所で音を出した場合、聴いている人は「誰が間違えた?」かわからないものです。つまりオーケストラ全体としての「失敗」になるのです。100人のオーケストラで99人が正しい音を出していても、一人が「半音」違った音を出したことで、音は明らかに濁ります。プロオーケストラの録音現場であれば「録り直し」です。全員がもう一度初めから演奏しなおします。それがオーケストラの怖さでもあります。
 アマチュアオーケストラメンバーに、それを求めたら?誰も演奏できないばかりか、誰も演奏したくないですよね?プロではないのです。間違っても仕方ありません。それでも!演奏する楽しみを優先するのが「アマチュアオーケストラ」です。

 ぜひ!あなたもアマチュアオーケストラのメンバーになって、楽器の演奏を楽しんでみてください。日本中にたくさんのアマチュアオーケストラがあります。規模もコンセプトも様々です。練習の頻度、内容も違います。何よりも「人」が集まるのですから世界中に、同じオーケストラは二つ存在しません。
 そのオーケストラの一員として演奏する「喜び」を体験してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト・指揮者 野村謙介

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