ヴァイオリンで弾くか、ヴィオラで弾くか。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 上の映像は、私と浩子さんがヴィオラで演奏したドヴォルザークの「我が母の教え給いし歌」下の映像は、チェリスト長谷川陽子さんの同曲。
この曲をヴァイオリンで演奏してみよう!と思い立ちました。
…って今更(笑)、元よりクライスラーが編曲している時点でヴァイオリンで演奏するのが「先」かも。

 同じ人間(私)が同じ曲を演奏しても、違う音楽になる不思議。
しかも、11月に木曽町で開かれるコンサートでは、私のヴァイオリンではなく木曽町が所有する陳昌鉉氏製作のヴァイオリンを使って演奏する企画です。
ヴィオラはいつも愛用している陳昌鉉氏が2010年に製作された楽器です。
 同じヴァイオリン製作者の作られたヴァイオリンとヴィオラを、一人の演奏者が持ち替えながら演奏するコンサートです。ヴァイオリンとヴィオラで「大きさ」が違うのは当然ですが、ヴァイオリンにも微妙な大きさ、長さ、太さ、重さ、厚みの違いがあります。日頃使い慣れているヴァイオリンとは、かれこれ45年以上の「相棒」ですが、ヴィオラはまだ12年の「お友達」。木曽町のヴァイオリンは昨年も演奏しましたが、まだ「顔見知り」程度の関係です。

 ヴィオラとヴァイオリンを演奏できる友人、知人がたくさんおられる中で偉そうに書いて申し訳ありません。恐らく私だけではないと思うのですが、ヴィオラを手にして演奏しようとすると「ト音記号がすぐに読めない」と言う現象が起こります。正確に言えば「どの高さのド?なのか考えてしまう」のです。ヴィオラを持つと頭の中で「アルト譜表」と「ヴィオラの音=弦と場所」が、自動的にリンクします。色々な譜表が入れ替わるチェロやコントラバスを演奏する方々を心から尊敬します(笑)

 楽譜を見ないで演奏するようになってから、ヴィオラで演奏していた曲をヴァイオリンに持ち替えて演奏したり、その逆に持ち替えて演奏することが時々あります。ヴィオラで「しか」演奏したことのない曲を、ヴァイオリンの生徒さんにレッスンで伝える時、まず浩子さんに「ト音記号」の楽譜を作ってもらうことから始まります(笑)それは良いとして、楽器を持ち替えて演奏する時の「恐ろしい落とし穴」がありまして…。ヴィオラで演奏している曲を、ヴァイオリンで弾く時、音域が!(笑)ヴァイオリンの最低音「G=ソ」なのを忘れて弾いてしまう恐怖。同じ調=キーで演奏する場合に一番「恐ろしい」ことなのです。
ヴィオラの「中・高音」はヴァイオリンでも当然演奏できますが、音色がまったく違います。筐体=ボディの容積も、弦の長さ、太さも違うので、倍音も変わります。つい「ヴィオラのつもり」でヴァイオリンを弾いてしまうと「…ファ…!」になることもあるので、オクターブを考えて弾き始めることが「要=かなめ」です。
 ヴィブラートの深さ、速さもヴァイオリンとヴィオラでは変えています。
弓の圧力、速度も違います。「慣れる」ことが何よりも重要です。
母の教え給いし歌を、ヴァイオリンで演奏している動画はたくさんあります。
私にとってこの曲は今まで「ヴィオラ」で演奏する曲でしたので、どこまで?どの程度?ヴァイオリンらしく作り直すか…陳昌鉉さんのヴァイオリンにも慣れながら、さらにその3週間後のリサイタルでは、自分のヴァイオリンで違うプログラムを演奏する練習も同時進行です。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です