趣味のある人生

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 映像は2008年8月24日(日)に実施した、メリーオーケストラ第14回定期演奏会での「ビーチボーイズ メドレー」です。いつもの事ながら、演奏している人たちの「真剣さ」「ひたむきさ」「楽しさ」を感じます。「かっこよさ」とか「美しさ」「うまさ」が足りない?かも知れませんが、私にとっては前者の方が、1億倍(子供かっ!笑)大切なことだと思っています。
 今回のテーマは「趣味」についてです。

 趣味の〇△という書籍や番組、履歴書にある「趣味」の欄、お見合いで「ご趣味は?」←今時、言うのだろうか?など、普通に使う言葉ですが生活の中で、自分の趣味を考えることはあまりない気がします。
 まず、「子供の趣味」とは言いませんよね?子供が生き生きと遊んでいる姿こそ「趣味」の原点ではないでしょうか?好きなことをしている時の「純粋な楽しさ」こそが趣味だと思います。
 大人が趣味という裏側には「好きじゃなくても」やらなくてはいけないことがあります。あるいは、好きだけれど「責任」のあることも趣味とは言いません。
 失敗しても途中で投げ出したとしても、誰にも迷惑をかけないという「自分だけの責任」で楽しめるのが趣味でもあります。趣味にかける「お金」も、大人が自分で稼いだお金を使います。もちろん、家族がいる場合には「限度」がありますよね。家族に迷惑をかけない範囲のお金で、自分の好きなことをするのが趣味です。

 趣味のない人生。趣味のない生活。普段、仕事と生きることに精一杯の人にとって「趣味なんて余裕はないし、いらない」と思うかもしれません。
 確かに「お金持ちの趣味」と聞くと、悪いイメージがあります。
「豪華客船で世界一周するのが趣味」とか、「何台も車を買うのが趣味」とか聞くと思わずムカつくのが庶民です。生活に余裕のある人の特権なのでしょうか?
 私はそうは思いません。生活が苦しくても、趣味は楽しめると信じています。
お金をかける余裕がなくても、散歩が趣味だったり、ただボーっと空を見るのが趣味だったりするのは、素敵な趣味だと思うのです。その人が「心休まる」ことも立派な趣味だと思います。
 私の父は「骨董集め」が一番の趣味でした。休みの日には、ひとりで夜の明けないうちに起きて出かけ「蚤の市」に行っては、なにやら買ってきていました。それを、庭先の水道で洗う嬉しそうな父を「なにが楽しいんだ?」と怪訝な気持ちで見ていたのを覚えています。

ラグビーを見るのも趣味でした。テレビで生中継を見た後に、万度もビデオを見ながら、何度も興奮して手をたたく父を見て「大丈夫か?」と思ったこともあります。
 その父が一番嫌いで必要以上に怯えていた「病気」になってから、趣味を無くしました。骨董の事にも一切、関心を無くしました。母とふたりで施設に入居してからも、自分の部屋でただ椅子に座って、黙り込んでいるだけの日々でした。いくら誘われても、集まりにもイベントにも参加せずに、座ったままでした。
 私と浩子さんが演奏に行った時だけは、みんなと一緒に聴いていました。まるで「天照大神」になったような気がしました(笑)
 趣味を無くした人の「無表情」な顔は見ていて悲しくなるものです。
生きるために食べ、寝るだけの生活を本人が望んだとはいえ、家族としては骨董を洗っている父の姿の方が何倍も「生きている」姿に見えました。私事ですみませんでした。

 メリーオーケストラは趣味で楽器を演奏する人と、音楽を専門的に学ぶ人、さらには職業として演奏している人が、一緒に演奏して楽しむオーケストラです。
 普段、職業として演奏している方に対して「交通費」しかお支払いできないのは、音楽家として心苦しいことです。それでも「参加します」と言ってくださる人たちのやさしさに感謝すると同時に、その人が音楽を演奏することを「楽しんでいる」からこそ、交通費だけで参加してくれているのだと確信しています。
 音楽を一緒に演奏する楽しさを知っている人に、「すみわけ=分類」は不要だと思います。楽器の演奏が好き。一緒に音楽を演奏するのが楽しい。それが職業だろうと、自分だけの楽しみだろうと本質は「好きだから」という事に違いはないと思うのです。
 私自身、今までにいろいろな趣味がありました。カメラだったり車の運転だったり、バイクだったり。そして今、楽器を演奏すること、音楽を広めることが「趣味」なのかな?と自分で思う年齢になりました。出来ることだけしかしないという「無責任」なのかも知れませんが、そろそろそれも許される年齢になってきたように感じています。
 皆さんもぜひ!趣味のある生活を楽しんでください。
最期までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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