グリッサンドとポルタメントは色っぽい?

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 今回のテーマは、ヴァイオリンの演奏技法の中で言う「グリッサンド」と「ポルタメント」についてです。
あまり難しく考えずに、直感的な言葉で書いていきますので、お読みいただければ幸いです。
 上の動画はフィビヒ作曲の「ポエム」です。
音のつなぎ目を無段階に音を変化させてつないだり、音の出だしにその音より低い音から無段階に、ずり上がるように演奏し始める演奏方法があります。
 特殊な例として、その音より高い音から始めたり、最後に高い音に跳ね上がるように演奏する場合もあります。
昔の女性アイドル、たとえば松田聖子さんの歌い方。思い起こせますか?
 ヴァイオリンの場合、音と音の間を「なめらかにつなげる」場合と、「はっきり区切る」場合があります。単にレガート=スラーなのか、弓を返すのかという問題ではなく、音の高さの「差」を埋める方法です。

 こちらはマスネー作曲のタイスの瞑想曲。多くの方が演奏し「この曲をひけるようになりたい」という生徒さんも多い曲です。
 ピアノやハープのグリッサンド奏法で出せる音は、「音階」です。厳密に言えば、1オクターブを12等分した「半音」が最小の差で、その倍の「全音」との組み合わせです。
 他方、弦楽器や声=歌トロンボーン、まれにクラリネットやサキソフォーンなどで多く用いられるグリッサンド奏法は「半音」よりもさらに細かく、無段階に音の変化をさせる奏法です。

 さて、ヴァイオリンを演奏する際に、基本はひとつずつの音の高さを明確に区切って演奏することです。言い換えれば、発音する時間から終わる時間までビブラート以外のピッチを変えない演奏です。わかりやすく言えば「オルガン」の音のように明確に音の高さが聞き取れる音です。
 ある音から次の音への「高さの差」をすべてグリッサンドで埋める場合もありますが、多くの場合は次の音の「少し前の時間」から「少し高い音」または「少し低い音」からその音に到達する方法を用います。
 「意味が分からん」と言われそうです。
下の動画の中で時々聞こえる「にょ~ん」(笑)探してみて下さい。

 いかがでしょう?聞き取れました?
ちなみにこのグリッサンドやポルタメントを加えると
「いやらしい」「ねばっこい」「いろっぽい」「あまったるい」
そんな印象を感じませんか?感じ方は人それぞれなので正解はありません。
どんな飾りや調味料でも、多すぎるとねらった美しさやおいしさを表現できず、飾りや調味料「だけ」の印象が強くなってしまいますよね?あくまで「自然」に感じる量が肝心です。
グリッサンドが多すぎると、しつこく感じ、不自然に感じます。
あくまでも「意図的に」加え、聴いていてちょっとした「アクセント」にとどめるべきです。もちろん、グリッサンドをまったく加えなくても音楽は素敵です。
必要不可欠な奏法ではありません。ただ「味つけ」として、この演奏方法を使いこなすことも大切な練習だと思います。

 下の動画はパラディスの作曲したと言われるシシリエンヌです。
色々なヴァイオリニストの演奏を聴いて、自分の好きなグリッサンドを探すのはとても楽しいことだと私は感じています。できる出来ないよりも、自分が美味しい!と思った味を自分で再現してみる「楽しさ」を感じます。最後までお読みいただき、そして最後までお聴き頂きありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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