大学教授に世代交代を!

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 今回のテーマは、大学教授の高齢化に物申す!という固いお話です。
私は現在61歳です。自分の「高齢化」を感じるか?と聞かれれば身体的な面での「老化」は素直に認めます。一方で気力の衰えは感じませんし「まだまだ現役」と言う気持ちもあります。
 その私が感じる音楽大学教授の高齢化について、大きな危機感を感じています。ここで言う「高齢」は衰えを指すものではなく単純に「年齢が高い」と言う相対的な意味です。

 教師と言う職業に限らず、日本では「年功序列」制度が長く尊重されてきました。
また「老いては子に従え」という言葉もあります。
「職場」と言う閉鎖された社会の中で、組織の中で生き残ることは「目的」ではなく「生活のための必然」です。上司の能力が誰の目から見ても足りない時にでも、部下が声に出せないのが「普通」です。ましてや経営者の能力や、経営者に「近い存在」の上司には逆らえないのが組織です。
 とは言え、度を過ごした「上からの命令・指示」は、こんにち「パワーハラスメント」として扱われ許されない行為となりました。逆の場合でも度を過ぎれば「ハラスメント」として問題になります。
 いずれにしても「序列」がある組織の中で問題なのは「上に立つ人間の数と質」なのです。

 教員と言う職業は「指導」が中心であり、教員の能力は「指導力」を指すものです。指導能力が評価されるのは「指導の結果」です。
人間(学生や生徒)に指導する「領域=分野」があります。
音楽大学で学生を指導する教員にも「専門分野」が様々あります。
「専門」が「演奏」「作曲」「音楽学」の教員に求められる「指導結果」は、卒業後の学生が発揮する「能力」です。
 若い演奏家と高齢の演奏家で、どちらが演奏技術が優れているか?
当然、個人差で決まるもので年齢に関係はありません。
 指導力と言う面で考えると「経験」が重要という、ひとつの考え方もあります。それも「結果」によって評価が分かれます。
 つまり高齢なら良いレッスンをして良い演奏家が育つとは限らないはずです。
逆に言えば若い演奏家のレッスンで良い演奏家が育つことも、十分に考えられることです。
 結論を言えば「高齢の指導者が良い」とは限らないという事です。

 社会全体の高齢化は、医学と科学の進歩による「良い結果」です。
人間の平均寿命は、すでにピークを過ぎていると言う学説があります。
ひとりの人間が「生きられる時間」が、今までのように伸びることはないそうです。問題は「少子化」なのです。
 出生する人口が減り、寿命が今のままでも間違いなく「高齢化が進行することになります。その結果、何が起きているか?
 「働く人間の高齢化=人件費の高騰」と同時に「働かないと暮らせない年金額」と言う相反する問題を抱えてしまいました。
 雇用する側=大学にしてみれば本来、若い人を多く迎える方が人件費を抑えられることは、小学生の知識でも理解できるはずです。
 音楽家に限らず、これからの高齢者は年金だけでは生活できません。
現代80代の高齢者とは、まったく違う老後の人生なのです。
 年金で十分に生活できるなら、若者に働き口を確保するのは「高齢者のマナー」です。それが今、出来ない現実は、私たちの責任ではありません。
 まぁ今回はその「犯罪者」をあげるのはやめておきます(笑)
 音楽大学で「まだ働きたい」と考える高齢教授、さらには高齢者予備軍にとって、若い指導者に自分の椅子を渡したくない!と思うのも理解できますが…
 少なくても」若く能力のある指導者」を教授に迎えることを「邪魔するな!」と言いたいのです。若ければ良いとは一言も書いていません。
年齢に関わらず、能力の高い人を増やすことが音楽大学に求められているはずです。

 習う側の立場を考えれば、高齢教授が椅子を離れるべきか?誰にでもわかるはずです。多くの高齢教授は「ずっと教えている人」ですよね。定年を過ぎても働いているおばあちゃん教授が、おととい雇用されたって話は聞きませんから(笑)その、おばあちゃんに指導を受けたいと思う若者の理由を考えてみてください。その先生に習いたいと思う理由は「自分をうまくしてくれる」と思うから。それ以外にあり得ませんよね?「優しそうだから」「なにを弾いてもおこられなさそうだから」って理由?(笑)ないです。
 一番上の一覧表、グラフを見返して頂くと、定年年齢が高い大学も多い一面と、「教授平均年齢」が63~66歳って、異常だと思いませんか?定年と平均寿命が100歳ならわかりますけど(笑)
 若い教授が増えない理由はただ一つ。高齢教授たちがやめないからです。
能力を評価する「能力」が大学内部に必要なのに、それが出来ない。
もっとも客観的な「能力評価」は卒業生が音楽家として生活できているか?だけで十分把握できるはずです。
 私立大学の教授平均年齢が高いことにも疑問があります。
良い指導を行うために…と言う考えに私立公立の違いはないはずです。
私立音楽大学の経営者が音楽を知らないことにも一因があると思います。
さらに、高齢教授が「幅を利かせる」ことが当たり前になっている気がします。
 せねても教授平均年齢を50台に下げること、定年後は教授職を解くことが必要だと思っています。
 大学教員経験のない私の考えが、間違っていることもあるのは承知しています。自分をしどうしてくださった大学の指導者たちに敬意を持つからこそ、若く能力のある教授をひとりも多く、増やしてほしいと願います。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介
 

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