脳内イメージと楽器演奏

このエントリーをはてなブックマークに追加

今回のお話は、アマチュアヴァイオリニストの方にとって、少しは役に立つかな?というテーマです。
ヴァイオリンは、右手で弓を使って音を出し、左手で音の高さを変えていきます。ピアノは、両手の指で鍵盤を押し下げて音を出し、音の高さも同じ指で決めています。
ヴァイオリンの演奏をするときに、右手の運動と左手の運動は、それぞれ左脳と右脳からの命令で動いていますから、ダウン・アップの運動は左脳、音の高さは右脳で考えていることになります。
そして、音楽を演奏する時には「音の強さ=長さ」と「音の高さ」の要素が楽譜に書かれています。もう一つの要素である「音色」は楽譜には書かれていません。問題はここからです。

楽譜を音にしようとするときに、ピアノであれば両方の手が音の高さと強さをコントロールするので、ある意味で右脳と左脳が「似た命令」を出していると考えられます。
弦楽器の場合、音の高さは左手の運動として考えます。音を出す運動である右手は、音の高さである「弦の種類」と、ダウン・アップの運動で「音の強さ=長さ」を考えています。
そのまったく違う運動が、ばらばらになってしまうことがアマチュアの方に多く見られる現象です。右手と左手がずれるので「合っていない」と思いがちですが、むしろ当たり前のことです。なぜなら、私たちは一つの運動に集中すると、ほかの運動は「無意識」になるからです。
自動車の運転は、右手、左手、右足、マニュアル車なら左足が」すべて違う仕事をしています。それを同時に、しかも瞬時にできるのは、一つの運動だけを考えていないからなのです。むしろ、運動ではなく視覚でとらえた情報と、体にかかる力「重力=G」を感じて、無意識に両手両足を動かしています。つまり「イメージ」を無意識に「運動」に変えているのです。

では、どうすれば?無意識に弓と左手を動かせるようになるのか?
私の結論は「音のイメージと動きのイメージを同化させる」練習だと思います。
たとえば、3・3・7拍子を創造してみてください。
ちゃ・ちゃ・ちゃ
ちゃ・ちゃ・ちゃ
ちゃ・ちゃ・ちゃ・ちゃ・ちゃ・ちゃ・ちゃ・
頭でこの音を想像してください。次はその音のイメージに
右手の運動を加えてイメージします。と言うより「一つのイメージ」として
ちゃ・ちゃ・ちゃという音を右手が右・左・右に動くことで出るイメージです。
運動は小さくて構いません。指先だけでも構いません。
3・3・7拍子の「音」と運動を同時にイメージできるようにします。
運動だけを、逆方向に動かすイメージもやってみます。
最初はどちらか(音か、運動か)一方に考えが偏るかもしれません。
その場合、考えていないほうは「無意識」に動いたり、リズムを間違ったりするはずです。

音と運動の両方をひとつのイメージにすることは、左手の運動でも同じことです。
音が変わる時に、左手の運動が加わります。その運動も「一つのイメージ」の中に加えます。先ほどの、3・3・7拍子に「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ」という音の高さを加えて、一つずつの音に、右手の「右・左・右・左」を繰り返して割り当ててイメージします。
実際に言いながら、楽器も弓も持たずに、この「課題」が出来た時、恐らく何も考えていないことに気づくはずです。左手に集中したら、右手が止まるでしょう?右手に集中したら、次の音の名前が出てこないでしょう?
頭の中の「脳」がイメージを運動にできることで、運動よりも音のイメージを優先して演奏できると私は考えています。
イメージ>運動
ということです。この練習は、プロの演奏家が恐らく無意識にやっています。
自分の演奏したい「音」を、運動からイメージに変えられるまで、繰り返しているはずなのです。事実、初見の時にもこのイメージがあるから、左手と右手が同時に動かせるのです。初心者は、それができません。これは「隠れた技術」であり、トレーニングによって誰でも身に着けられると私は思っています。
ぜひ!3・3・7拍子で練習してみてください!

あ・・。電車の中では、やらないほうがいいですよ。
通報されます(笑)

イメージの悪いヴァイオリニスト 野村謙介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です