ヴァイオリン演奏に必要な「能力」

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 映像は、斎藤秀雄氏が桐朋学園を立ち上げた頃の話を紹介している番組です。
私は斎藤秀雄氏が亡くなった翌年に桐朋に入学し、直接お会いしたことはありません。情熱を持って指導をされた音楽家だったことは感じていました。

 さて、今回はヴァイオリンを演奏しようとする人、あるいは実際に演奏している人にとって「必要な能力」について考えてみます。
 楽器の演奏に限らず、スポーツでも学問でも日常生活でも「身につける」ために必要な個別の能力があります。
 たとえばサッカーであれば、「走る」「ボールを扱う」「ルールを覚える」能力が必要ですよね。
車の運転なら「運転技術」「交通ルールを覚える」能力。
料理をするなら「調理の技術」「素材を選ぶ」「味を判断する」能力。
お医者さんなら「症状から原因を見つける」「治療する」能力が求められます。
 ヴァイオリンを演奏する時に「必要」な能力とは?

優先順位の高い順に考えます。
1.音を聴いて高さ・音色・音量を判断する能力
2.弓を使って音を出す能力(右手)
3.弦を押さえて音の高さを変える能力(左手)
4.楽譜を音にする能力
たったこれだけ!(笑)です。。どれが苦手ですか?

上記の1.の能力はヴァイオリン演奏で最も重要な「基礎」になります。
単に楽器を演奏する技術だけを身に着けようとする人がいますが、自分の音を聴いて判断する能力を「鍛える」練習が必要です。
ソルフェージュ・聴音で「耳を鍛える」ことが可能です。
生の演奏をたくさん聴くことも大切な練習の一つです。

2.と3.の能力は、弦楽器(ヴァイオリン族)特有のものです。
特に2.の弓を使う技術は「音を出す」と言う技術、そのものです。
いくら3.の左手を練習したくても「音」が出せなければ練習にもなりません。
弓を動かす運動の「大きさ」と「動かす部位」は左手に比べてはるかに大きく、複雑です。右上半身のほとんどすべての筋肉に影響されます。「右手一生」と言う人も多くいるほどです。観察する部位も多く、演奏中にまず優先的に考えるべき能力です。言うまでもなく、1.の能力「聴く」技術が不可欠です。
3.の左手をコントロールする能力は、上記の1.と2.の能力に「掛け算」されるものです。足し算ではない?音を聴く力、安定した音をだす右手の能力が少なければ、左手「だけ」の能力はありえないのです。上記の1.2.のどちらかが「0」なら左手の能力も「0」なのです。ビブラートも左手の技術ですが、これも1.2.の能力があって初めて身につく能力です。

4.の楽譜を音にする能力は、極論すればなくても上記の1.2.3.の能力があれば、ヴァイオリンをじょうずに演奏できます。事実、フィドラーと呼ばれるヴァイオリン奏者の中には楽譜を読めない人もたくさんいると聞きます。誰かと演奏するときでも、言葉と楽器で打ち合わせをすれば合奏できる「特殊な能力」です。
 楽譜を音にする能力は、ヴァイオリンを使うよりもピアノやソルフェージュで身に着ける方が短期間で効率的に練習できます。
 楽譜を音にする能力があれば、短時間で効率的に音楽を練習できます。「耳コピ」で音楽を覚えることができるのは、ある「長さ=小節数」までです。もし上記の1.の技術の中に「絶対音感」があるのであれば、この4.の能力よりも効率的です。それでも楽譜が読めた方が能率的に上達できることは事実です。

 ざっと(笑)書きましたが、これらの能力の中で、自分に足りない能力を考えることがヴァイオリン演奏技術を上達させることにつながります。
 実際、プロのヴァイオリニストであっても上記の中の「どれか」を練習していることに変わりありません。
 ヴァイオリンン以外の楽器を演奏する場合には、それぞれに違った「能力」が必要になりますが、上記の1.の能力はどんな楽器においても「不可欠」です。
すぐには身につかない能力ですが、今現在楽器を演奏している人ならだれにでも平等に身につけられる能力でもあります。あきらめずに!頑張りましょう!
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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