15年目の挑戦

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 2022年12月18日(日)相模原市緑区のもみじホール城山で、私と妻浩子のデュオリサイタル15を無事に開催することができました。
 ここ数週間、自分が慣れ親しんだ構え方を見直し、大きな(自分としては)改革をしました。結果がどうであれ、自分にとって正しいと思ってきたものに手を入れることには勇気が必要でした。リスクも考えました。「いまさら」と言う気持ちが心を支配しそうになりながら、「いまだから」と言う気持ちで取り組んでみました。
 リサイタル当日までに、自分の筋力の疲れをコントロールしながら、出来るところまで…と言うのが正解ですが、やれることをやった気持ちでいます。
 当然のことですが、楽器の構え方=持ち方=姿勢を変えることは、自分の音の聴こえ方もピアノの聴こえ方も大きく変わります。これが「良い選択」だったのか?は誰にも判断できません。むしろ、自分自身で冷静に観察し続けるしかありません。少なくとも、今まで使って来なかった筋肉がパンパンに(笑)張っていることを考えると、自分の考えていた演奏方法に近かったことは事実です。

 プログラム中の7曲目に演奏したゴダール作曲「ジョスランの子守歌」
ホールの空調(暖房)が弱く、この1曲前が終わったときに、温度を上げてもらうようにお願いした直後の演奏で、まだ左手指が攣りかけています(笑)
 練習で思ったようにはひけていませんが、「目指していたこと」には少し近づいた気がします。特に演奏しながら自分を観察する「引き出し」を増やせたことは、演奏しながら感じていました。おあまりに多すぎて(笑)すべては書けませんが、右手の親指、小指の位置、重心、左手の親指、手首の力、左ひじの位置、楽器と首の接触部、鎖骨下筋と肩当ての接触、背中の筋肉の使い方、膝の関節などなど…。最終的に「音楽」については、自分の記憶にあるボウイング、フィンガリング、テンポ、音色、音量を「その場」で考えながら演奏しました。
 まだ、完全に自分の身体に音楽が入っていない曲でもあり、不安な要素は多々あります。傷もたくさんあります。それでも「やりたかったこと」の一部は達成していました。

 こちらは、ヴィオラで演奏したメンデルスゾーン作曲の無言歌。以前、ヴァイオリンで演奏したことのある曲ですが、ヴィオラで挑戦しました。構え方を変えれば、ヴィオラの音色も以前とは変わります。これも依然と比べ、どちらが良い?とは今の段階で判断できません。陳昌鉉さんの楽器特有の「甘さ・柔らかさ」はそのままに活かしつつ、強さと明るさ、音色のヴァリエーションを増やすことを意識しています。まだまだ練習が足りないのは否めません。

 こちらはアンコールで演奏したシューベルト作曲のセレナーデ。ヴァイオリンで演奏してみました。いつもの私なら迷わず「ヴィオラ!」な曲ですが、今回敢えてヴァイオリンで低音の響きにこだわりました。大好きな曲なのに、実は今回二人が初めて演奏した曲です。歌曲ならではの「フレーズ」を壊さずに演奏することの難しさを感じます。

 来年1月7日(土)代々木上原ムジカーザでのリサイタルでは、同じプログラムをサロンの豊かな響きとベーゼンドルファーの太く柔らかい音色で演奏します。
 それまでに私たちが出来ることを「できる範囲で」やってみます。
お聴きになる方にとって、演奏者の「努力」は関係のないことです。
演奏者のどんな言い訳も通用しません。ただひたすらに「楽しめる演奏」を目指したいと思っています。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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