弓を操る(その弐‥手首編)

このエントリーをはてなブックマークに追加

前回の指に引き続き、ボウイングの考え方です。
手首の関節は、掌を真下に向けた状態で左右と上下に動かせます。
左右に動かす自由度は上下に比べて少ないものです。左右と言っても実は「弧」描く円運動です。この運動をそのままボウイングに使うと、弓も直線的には動きません。弦と弓の毛が直角に接していることが、摩擦を最大限に引き出して良い音を出す基本ですから、この円運動はある意味で要注意です。

上下の運動は、肘から手首までの部分「前腕」を水平にしたとき、
脱力すると掌の重さで掌が下がります。掌(手の甲)を水平にすると前腕と手の甲が一直線(平ら)になります。さらに曲げると掌が少し上がり前を向く形になります。

ここで手首の関節だと勘違いしていることを一つ。
掌を前腕に対して。左右に回転させる動きは、手首の関節の動きではなく、前腕の回転運動によるものです。
例えていうと、ドアのノブを左右に回すときの運動です。手首を見てみるとわかりますが、親指側と小指側に骨があり、手首だけを回転させることは物理的に無理です。つまり、掌の回転(掌を上にしたり下に向けたりする運動)は手首の運動ではありません。

久保田先生は、この手首の上下の動きについて、
「前腕と手の甲を平らにする」ことを基準にするように指導されました。
時に弓の中央部‥右ひじが直角に曲げた時の弓の位置で、手の甲と前腕が曲がっていると怒られました。
弓元に来た時の手首の曲げ方については、後ほど「肘の使い方」で詳しく書きますが、多くのヴァイオリニストが手首を曲げ、弦と弓の直角を作るのに比べ、弓中央部の時の一直線の状態を保つように指導されました。

先弓に来た時、手首を安直に曲げ(へこませ)がちです。
先弓で弓の動き、圧力を自由にコントロールするために、手首の関節の「左右の動き」を使います。

弦と弓の毛を直角に保ちながら、手の甲を弓の傾斜(E線A線D線G線)と大きく変えないこと。

弓先で掌を安直に外側(身体に対し右側)に向けてしまうと、小指がスティックから遠くに離れてしまいます。この運動は「前腕の回転」です。手首の回転ではありません。具体的に例えます。

弓中央から弓先にダウンボウする場合です。
中央で一直線だった前腕と手の甲の「面の方向」を維持し、
弓先まで直角に肘を伸ばすとき、掌は身体から少しずつ前方に離れていきます。
その際に、手の甲(掌)の弓の毛との「面」を保ったまま、肘を伸ばします。
その時に、手首を前腕に対し左側に曲げます。窮屈な感覚、引っ張られる感覚があると思います。手首の左右運動が少ないほど、窮屈に感じます。でも、小指はスティックに乗せた状態を維持できます。
手首を上下に曲げ、前腕を左側(内側)に回転させると掌は、外(右方向)に向いてしまい、小指が何もできなくなります。

文字にすると複雑ですが、上腕と手の甲をできるだけ一直線にしたまま、ダウンで弓先まで伸ばし、小指をできる限り、弓から離さないことを意識します。

手首の柔軟性は上下運動より、左右の運動範囲を大きくできるようにすることが難しいのです。

指がついている掌(手の甲)の関節、その次の第二関節を耐雷にする。
「グー」をしたとき、手の甲と指が直角に近くなりますね。
「パー」をすると、手の甲と指先までが一直線になりますね。
「ひっかくぞ!」の手の指の曲げ方。手の甲と指の第二関節までを平らにする形です。
この形を保って弓を持つイメージ。難しいですが、久保田先生はこの形を毎回のレッスンで厳しく注意してくれていました。

実際に弓を動かす「肘(前腕)」と「肩から肘(上腕)」の動きはまた、次回。

“弓を操る(その弐‥手首編)” への2件の返信

  1. 昨日からバイオリンを始めた65歳170cm痩せっぽち男性です。手首を水平に、親指方向へ曲げるのが困難だとわかりました。
    D線G線で先弓を使うために、毛を水平にして弓先を鼻の頭で静止させるぐらいのトレーニングをしても良いでしょうか?

    1. 和田節さま。はじめまして。ブログ主の野村謙介です。
      練習方法を工夫されていて感服しました。素晴らしいことです。
      右手の親指の使い方は、左手の親指以上に重要な役割があります。
      何よりも、右手人差し指の下方向への圧力を、親指が逆方向に力を支えることで
      弓と弦の接触部分に圧力がかかりますから、常にコントロールする必要場あります。
      何よりも、右手のすべての関節、指、手首、ひじ、肩、さらに首から背中にかけての
      不要な緊張を取り除くことが大切かと思います。
      そのうえで、弓先になった時の右手の位置が水平方向、垂直方向に決まりますので
      まずは、弓を持たずに右手を斜め前、鼻の高さ当たりに伸ばして
      しばらくそのまま保持することで、正確な位置に手が伸びた時の、間隔がつかめます。
      弓を持った場合、どうしても前腕の向きと、弓の向きが斜めになるわけで
      弓を持つ親指と人差し指の、「弓との角度」が弓中の時と変わることになります。
      また、手首を左右に曲げられる柔らかさも重要になります。
      弓を持った時の指の曲げ方で、実際には弓は持たず、手首を左右(親指側と小指側)に曲げる
      ストレッチも効果があります。
      なんにしても、弓を持った時に無意識に力が入るものです。
      その力を意識的に必要最小限にすることがとても難しいのですが、
      常に音を意識しながら練習していくと、なれてくると思います。
      お役に立てれば光栄です。ヴァイオリンを楽しんでください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)