なぜ?初心者向けの曲が少ない?ヴァイオリン

このエントリーをはてなブックマークに追加

 映像は、エドワード・エルガーの作曲した「6つのやさしい小品」という曲です。エルガーはイギリスの第二国家とも呼ばれる「威風堂々」や、「愛の挨拶」を作曲した人です。
 この曲は、1曲目から6曲目まで、すべてを「ファースト(第一)ポジション」で演奏できるように書かれています。と言うよりも、ファーストポジションしか演奏できない初心者が練習すRために作られていると言っても過言ではありません。初心者の…と言っても、音楽として考えると、とても素敵な音楽だと思いませんか?それぞれの曲は、数分で弾き終わる長さで、小節数から考えてもそれぞれ、長くても数十小節で終わります。
 最初の曲は、ほとんどの音符が四分音符で、臨時記号も数箇所だけで、あとの「幹音(CDEFGAHの白い鍵盤の音)だけで書かれています。
すべての曲が、それぞれに「目的」を持っているように感じます。
リズムと弓の配分、スタッカート、スラー、長調と短調など、ヴァイオリンの初心者に「技術」を意識せずに「音楽」として練習できる「楽曲」として完成しています。

 上の2曲は私たちのリサイタルで演奏されることの多い「歌」をピアノとヴィオラで演奏したものの一部です。ふるさと、瑠璃色の地球。
どちらも、素敵な旋律=メロディーと、これまた素的ピアノの和声=和音で作られています。特に、ピアノの「アレンジ」が歌を演奏する時の大切な要素になります。当たり前ですが、ヴィオラで「歌詞」は演奏できませんが、歌詞を意識して演奏しています。

 最後に、初心者ヴァイオリン奏者の、技術向上を目的にした「音楽」が少ない理由について考えます。
 練習用の「練習曲=エチュード」と「音階教本」は何種類も、販売されています。特に、左手の指を独立させて動かす「運動」を分類した練習用の楽譜、例えば「シラディック」や「セブシック」と言うタイトルの練習楽譜が主に使用されます。その中でも、ポジション練習のための「作品=巻」のように、特定の技術習得に特化した楽譜です。
 一方で、「カイザー」や「クロイツェル」「フィロリロ」など、練習用の「独自の音楽」を徐々に難易度を高くしながら練習できる「練習曲集」があります。
国内だと「新しいヴァイオリン教本」や「鈴木メソード」、「篠崎ヴァイオリン教本」などがすぐに手に入ります。ただ、収録されている音楽は、ヴァイオリンの技術向上を目的にした音楽ではなく、「演奏できるようになったら楽しい」という程度の段階で、曲が並べられています。特に巻が進むにつれ、有名な既成の協奏曲の一部や、小品がそのまま収録されているだけです。オリジナルの曲はほとんど入っていないのが現状です。

 音階の教本は「カール・フレッシュ音階教本」が、音階練習の「バイブル」ともいえる集大成です。すべての調で、ありとあらゆる「音階とアルペジオ」の楽譜が書かれています。一生かけて練習するための「経典」に近い?(笑)
簡単な音階の教本もありますが、本当の意味で音階を練習したいのなら、このカール・フレッシュを練習するしかありません。

 ヴァイオリン初心者に向けた音楽が少ない理由は、とても簡単です。
「作曲されていないのです。」
なぜ?世界中の作曲家たちが、ヴァイオリン初心者のための曲集を書かなかったのか?昔から、ヴァイオリンを教える先生、教わる生徒がいました。昔から「天才ヴァイオリニスト」と呼ばれる名手がいました。みんな最初は「初心者」でした。そしてみんな習ったのです。その時になんの曲を?どんな曲を練習したのか?記録がありません。ただ言えることは「楽譜を読む技術」は別のレッスンで身に着けて、ヴァイオリンの演奏技術だけを習うために「特定の音楽」がなくても練習できたということが言えます。
 ヴァイオリンの演奏技術は「ピッチの正確さ」と「ボウイングの技術」に集約されます。指導者によって、指導のプロセスが全く違います。ある先生は、ひたすら開放弦だけを練習させます。ある先生は、音階だけを練習させます。また違う先生は、持ちきれないほどの教本を買わせて練習させます。どれが正しいとは言えません。
私は「生徒の技術と知識、年齢と目的によって」指導方法を変えます。教本も変えます。楽譜の読めない生徒さん、読めなくても良いから演奏したい生徒さんなど様々です。その生徒さんに応じて、指導方法を変える「引き出し」を持つことが指導者の技術だと思っています。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です