ヴァイオリンはどこまで進化するべきなのか

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上野3枚の写真はすべて私が愛用しているヴァイオリンです。
1808 GIASINTOS SANTA GIULIANA
私が13歳の頃、50年前に父親が刈ってくれた楽器。ヴァイオリン職人として高名だった田中豁さんかが、メニック(フィラデルフィア)から取り寄せたものでした。
 さて、今回のテーマはヴァイオリンと言う楽器の「進化」について考えるものです。

 ピアノや多くの管楽器は、楽器が使用されるようになってから、長い時間をかけて「進化」してきました。素材や機構、作成譜お方も含めて「より演奏しやすく大きな音が出るように」変化してきました。
 演奏会場が大きくなり、一緒に演奏する楽器の音量が上がれば当然の変化かも知れません。
 ヴァイオリンは?どうでしょうか。

 この写真は1677年にニコロ・アマティが作成したというヴァイオリンだそうです。(笑)アマティはストラディヴァリの師匠にあたる製作者です。これ以前のヴァイオリンは様々な大きさ・形状だったようです。
 1680年と言えば?日本では江戸時代。五代将軍徳川綱吉が政治を行っていた時代です。
いくら「西洋」とは言えば現代との違いは想像しきれないほどです。
 演奏をする場面を想像しても「ホール」ではなく、宮廷や教会での演奏が主だった時代。金属の加工技術も低く、楽器に張る弦もガットをそのまま使っていた時代です。
当時に生まれ、活動していた作曲家は
パッヘルベ
コレッリ
パーセル
アルビノーニ
アルビノーニ
ヴィヴァルディ
テレマン
ラモー
J.S.バッハ
D.スカルラッティ
ヘンデルなどなど。

 さて、2024年の今を考えます。
「Ai」私世代なrあ「愛」と読みますが(笑)人工知能やら「量子コンピューター」やらが使われ始めている時代です。音楽で考えると何か大きな変革があったでしょうか?
 コロナ感染症で「音楽配信」が増えましたが、それ自体は新しい技術でもありません。
生で演奏を楽しむ機会が減ったことは事実です。それでも、クラシック・ポピュラー共に音楽の生演奏を聴いて楽しむ文化は10年前50年前と比較しても、あまり変わっていません。

 録音技術がデジタル化されて、すでに数十年経っています。逆に「アナログ」が見直される時代になりました。自宅や外出先で音楽を聴くことも「ウォークマン」が発売された40数年前前から続いていることです。
 電子楽器が「パソコン」にとってかわられたのはここ10年ほどのことかもしれませんが、それも「テクノ」が流行った昭和の時代に存在していた音楽です。シンセサイザーと呼ばれる電子楽器は40年以上前からありましたし、電子オルガンも50年以上前から普及していました。

 ヴァイオリンに求められる「進化」って何でしょうか?少なくとも演奏方法や演奏する楽曲が変わっていないことは事実です。
「より大きな音が出せる」ことでしょうか?「より演奏しやすく変える」事でしょうか?
「初心者でも演奏を楽しめる」ことでしょうか?例えば調弦=チューニングしやすくするtらめの「アジャスター」は既に60年以上前からありました。ペグ=糸巻そのものを「ギヤ」で力を入れなくてもペグを好きな位置で止められる機構「ファインチューン」というものも既に当たり前に使われています。
 一番「ちょこちょこ」変わるのは弦ですが、1700年当時の「生ガット弦」から「スチール弦」「金属巻きガット弦」が生まれ「ナイロン弦」が生まれてからあとは「これは!」という進化はありません。むしろパッケージを変えただけで「新製品」が発売されている状態です。

 演奏に求められうるのが「正確さ」「速さ」に偏っている現代、演奏者の音楽性や音色の美しさを求める人が段々減っている気がします。
 ヴァイオリンは300年前に「進化を止めた」楽器です。それを望んだのは演奏家であり聴衆です。70年以上前の録音されたレコードの演奏に、改めて感動するのは私だけではないと思います。個性を前面に出し、一つの楽曲に時間をかけて取り組んだ時代に「クラシック」の音楽の原点があるように思います。
 現代音がKとは次元の違う話です。進化より「深化」が必要だと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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