大人になってヴァイオリン

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ヴァイオリンは小さいときから始めないと弾けるようにならない。
この悪魔の囁きのような嘘、未だに信じている人がいるかも(笑)と思い、改めて真実を書いていきます。

小さい子供、たとえば3歳児が楽器の演奏を習い始めたとして考えます。
まず第一に、言葉による意思の疎通が難しいですね。特に、両親家族以外の人と3歳児のコミュニケーションは、全く違います。
親が我が子に楽器を教えることは、可能かもしれません。むしろ、他人から何かを習っていることを自覚できる年齢ではありません。
言葉を覚える時期ですから、見えるものの「名前」と同じ感覚で、聞こえてくる音の「名前」も覚えられます。これを反復することで、絶対音感が身に付きます。音の高さを感じる脳の働きは、成人しても変わりませんが、特定の高さの音に「ド」とから「ファ」という名前があることを記憶できるのは、言葉を覚える時期だと言われています。
この絶対音感がなければ楽器は演奏できない?
うそ!まっかなうそです。

絶対音感がある人とない人の違いは?
いわゆる「相対音感」は成人してからでも、いつからでも身に着けられます。
聞こえる音と「同じ(実際にはオクターブ違っても)高さの音」と、その音より「高い音」か「低い音」かを聞き分けることが、相対音感です。
二つの音を聞き比べて、どちらが高いか?低いか?を聞き分ける練習を繰り返せば、誰にでもこの能力は身に付きます。
自分の「声」で、聞こえている音と同じ高さの音を出せるかどうか?
これは、先ほどの「聞き分け」に加えて、自分の声の高さを自分の意識で、高くしたり低くしたりする「無意識の技術」が必要です。
自分がどうやって高い声をだしたり、低くしたりしているかを考えたことがありますか?おそらく、意識したことのない人のほうが圧倒的に多いはずです。
それでも「なんとなく」聞こえた音、あるいは「出したい高さの音」を声出せるようになっていきます。こうして、人間は「音痴」から始まって、無意識に自分の声の高さをコントロールできるように「学習」しています。

では、音痴でない人は絶対音感があるか?と言えば、違います。
絶対音感があっても、声をコントロールできなければ「音痴」です。
相対音感を使って歌を歌えるのですから、楽器の演奏ができないはずがありません。
絶対音感があれば、自分の出している音の高さが「ドレミ」に聞こえる。
相対音感の人は、「ド」とか「ミ」とかの音の高さと名前を教えてもらって、そこから次の音、たとえば「ドの次のレ」を歌っていけます。この幅と種類をたくさん増やすことが練習でできます。これで自分の出している音を「判断」できます。

ヴァイオリン演奏に絶対音感が不要であることはご理解いただけたと思います。
では、大人になると子供のころと何が?大きく変わるでしょうか?
人によって大きな違いがりますが、自分で自由に使える時間が減る人も多いですよね。とは言え、小学生ともなると大人より忙しい子供も多いのが実情です。
つまり、単純な「自由な時間」だけで考えると、子供と大人の間には、昔ほど差がないことが言えます。
子供は体と頭が柔らかい。大人は体も固くなって、物覚えも悪い。
これまた、人によって大きな違いがあります。子供でも柔軟性の少ない子、筋力の弱い子、物覚えが苦手な子がたくさんいますよね?

違うとすれば、次の点です。
・子供は考えるより、運動と「勘」で覚えます。
・大人は運動する前に、考えます。
人による差はありますが、多くの大人は自分の経験や知識をもとにして「考え」ながら行動します。
・どうすればできるか?を考えるのが大人です。
・できるまで繰り返す!が子供です。途中で飽きることも多いですが(笑)
できないと、考え込むのが大人です。えてして考えすぎて、ドツボにハマります。
次に違うのは…
・子供は少し前の事でも忘れる。
・大人は子供より長い期間、覚えている。
これは、楽器の演奏において、子供のほうが「積み重ねにくい」ことが言えます。一方で大人は、失敗した記憶も引きずりながら楽器を演奏することになりますが、積み重ねることは得意です。
この違いは、いつもと違う環境で楽器を弾いた時に大きな違いになります。
・子供は緊張しても「失敗した(する)こと」を意識しない。
・大人は緊張すると「うまく弾こう」「失敗しないようにしよう」と無意識に考える。
この違いが実はものすごく大きく表れるのが、レッスンだったり発表会だったりします。
大人は普段練習している時に「気持ちよく」弾けていても、レッスンや人前に出ると「うまくいかない」と感じます。こどもは?いつも同じです(笑)
しかも、大人の場合は「いつも」というのが基本的に「一人で演奏」しているので、自分の出している音を客観的に聞くことが出来ていないケースが多いように思います。子供の場合、多くは家族が「クチを挟み」ます。本人が気持ちよく適当に弾いていると、家族が「音が違うんじゃない?」とか「もっときれいに弾いて」とアドヴァイスします。
大人は?自分の演奏を冷静に聞くことが難しいのです。
ある人は「あぁ!へたくそ!」と落ち込み、またある人は「おぉ!わたしってじょうず!」と舞い上がります。あなたはどちら?(笑)
どちらにしても、自分の演奏を客観的に聞くトレーニングが必要です。

大人になって楽器を始める。
最高の趣味だと思います。
うまくならないストレスは「必ず」付いてくるものです。
うまくなっている実感が感じられず、やめてしまえばその時点で終わりです。
実はうまくなっているのか?を判断するのも技術です。
その技術はレッスンで先生に習うこと、あるいは誰かに聞いてもらうことによってしか体得できません。
うまく弾けるようになるために。自分の思ったように弾けるようになるために、自分の時間を好きなように使うのが趣味の音楽、趣味の楽器演奏です。
うまくなる「途中」を楽しむ気持ちで、少しずつでも積み重ねてください。
子供にはできない練習で、子供とは違う「喜び」を味わえるのが大人の特権だと私は思っています。

メリーミュージック 野村謙介


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