弓を操る(最終回‥肘~肩)

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ボウイングについての考察。
最後は、いわゆる「腕」の使い方について。

肘から手首までの前腕、肘から肩の関節までの上腕。そして、上腕を動かす、首と背中、主に肩甲骨周りの筋肉までを「腕」と考えます。
特に腕の付け根はどこ?と生徒に聞くと「肩」と答える人が多いのですが
実は肩の周りの筋肉も腕を動かすための筋肉です。

指から始めた話ですので、手首の次は肘の関節と前腕の使い方。
前回書いたように、掌を回転させる運動は前腕の回転です。
右肘の骨を反対の左手でつかみ、右手の掌を上、下に回転させてみてください。
肘の骨が動かないようにしても、掌が回せます。掌の回転は、弓の傾斜を変えられます。どの弦を弾くか。また、弦に圧力を加える仕事もできます。弓を弦から離すこともできます。
この前腕の回転運動に加え、肘の曲げ伸ばしの運動がダウン、アップの運動の主役になります。

弓先を使うとき、肘が伸びます。同時に手首の関節を左方向に曲げることで、弦と弓の毛の直角を保つ意識を持ちます。手首を上下方向に安直に曲げないで、出来るだけ掌と弓のスティックを平行に保つことを久保田先生は指導してくださいました。小指をスティックから出来るだけ離さないためにもこの手首の運動は重唱であることは前回書きました。

肘を直角に曲げたときに、手の指の形が一番「ニュートラル」の状態に出来ます。肘から右手の4本の指(親指以外)の第2関節までが「市間の板」のようになります。

肘の高さは‥

このニュートラルの状態で、肩から肘、肘から指の第2関節までが「1枚の板」の状態になるイメージで移弦します。この運動は「上腕」を上げ下げする運動です。肘を高くしすぎると手首と掌が下がりすぎ、腕の重さを弓に転化できません。下げすぎても同じように無理な力を使わないと腕の重さを利用できません。
肘の上下は弓中央から弓元にかけての「元半弓」でも利用します。
中央から弓元に移動するにつれ、肘を「上げる(身体から離す)」
元から中央に移動するにつれ、上がった肘を「下げる(身体に近づける)」
この運動は常に均一に動かすことが重要で、動きにムラがあると弓の圧力に大きな変化が起こり、弓がバウンドする原因になります。

肘は身体(お腹・胸の全面)より、常に「前方」に維持します。
この位置が前後に動くと弓を弦に対し直角に動かすことが困難になります。
身体の真横から誰かに見てもらい、ダウン、アップで肘が前後に動いていないか確認してもらうのが一番わかりやすい練習方法です。
肘(上腕)の上下運動は背中の筋肉を意識します。大切なことは

肘(上腕)は高くしても肩は上げない!

ことです。肩を首の方向(頭の方向)に引き寄せると方の関節が上方に上がります。首の筋肉に不要な力が入るうえ、自由な運動を妨げます。

常に肩を一番下げた状態で、肘(上腕)を上下に動かす練習が必要です。

弾く弦によって、弓の傾斜が変わり、肘の高さが変わります。さらに、元半弓を使うときはそこからさらに上方に上がります。

この複雑な運動は自分の眼で確認することは不可能です。
鏡を見ても、真横からの視点、真上からの視点はありません。

弓の動きを確認するうえで、最も大切なことは「音を聞く」ことです。
直角が崩れたときの音色、肘が高すぎたり低すぎたときの音色、移弦の際の雑音がないか。ダウンからアップ、アップからダウンになる瞬間の音色。

すべては音に現れますから、その音の特徴を聞き分ける集中力が必要です。
小さい子供に教える時は、実際に指、手首、肘、上腕に手を添えてあげることが最善の方法だと思います。大人の場合、弾きながら自分の身体の各部位を意識する練習が大切です。

長々と書きました。

言葉にすると、難しいですが、実際にボウイングすることはもっと難しいものです。

久保田先生の門下は、ボウイングが美しいと私は思っています。

美しいボウイングこそ、美しい音色を出す根源だと思っています。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

メリーミュージック代表
野村謙介

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