9月21日の展示即売会で演奏し、実際に即売できる楽器は心行くまで試奏して頂き、納得いただければ破格のお値段で販売させて頂きます。この写真は昨日私が撮影したものです。1808年イタリアのサンタ・ジュリアーナという製作作家が作ったヴァイオリンを1971年にメニックという会社から輸入してもらった楽器です。それ以来ずっと私の愛器です。陳昌鼓さんの楽器は若々しく力強い音色の中に、暖かい柔らか味のある音色が特徴です。
楽器選びの楽しさと難しさ
ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロといった弦楽器を選ぶのはとても楽しいことであると同時に、とても難しいことだと長年選定に携わり、自分自身のヴァイオリンとヴィオラにめぐり合うまでのプロセスを考えると痛感します。
アマチュアの方が楽器を選ぶ基準は、まず価格です。もちろん、プロでもそうなのですが、プロの場合優先順位が違ってきます。
では、価格の違いはどこから発生するのか?
単純に考えれば、現在製作者が存命である場合、生活していくに足る楽器の販売価格というものがあります。
楽器の製作にかかる材料…木やニスなどでも原材料費が変わります。
そして、一丁の楽器、一本の弓を完成させるまでにかける時間でもコストは変わってきます。
もちろん、何人かが共同し手分けして分業すれば、楽器の単価は安く出きます。その究極が「プレスによる大量生産」工場で人の手をほとんどかけずに、安い材料で機械を多用してとにかくたくさん作ることで、1セットあたり数千円の原価で作ることが出来る時代になりました。
ひとりの職人さんがすべて、手作りで作った楽器・弓の価格は…
これが様々です。原材料費は表に出てきません。まず、どんな木を使っているのか?素人目には判断できません。伐採してからどれだけの年数が経っているのかを判断できる方法がありますが、一般的に知られていません。なぜなら…それをみんなが知ってしまったら、木が新しいものか?ラベルに書いてある製作年数が本当なのか?うそなのか?…すぐにわかって「しまう」ことを嫌がる「悪徳業者」がいるからです。専門の鑑定士が鑑定すればラベルの真偽は鑑定できます。テレビでもおなじみですよね?街の楽器屋さんで売られているほとんどの「オールド」と呼ばれる楽器には、きちんとした鑑定書が付いていません。鑑定書が付いている楽器・弓は桁違いに高くなります。
言い換えると「鑑定書がない高い楽器・弓はラベルを信じられない」ということです。話を戻して現在も製作されている方の楽器や弓の価格が、何故ちがうのか…ですね。
結論を言えば「基準はない」のです。
イタリア製だから良い。これは間違いです。
見た目がきれいだから良い。これも違います。
コンクールで一位になった人の楽器だから良い。これも違います。
有名な製作者の楽器だから良い。これも違います。
高いから良い。まったく違います。
有名店で売っているから良い。間違いです。
ではアマチュアの方はどうやって楽器を選べば良いのか?
信頼できるヴァイオリニストが、信頼する楽器製作者から直接、紹介された楽器を、弾き比べてもらい、自分の好きな音の出せる楽器と弓を、自分の予算内で選ぶ」
これが究極の楽器選びだと思います。
私は40数年、ヴァイオリンを学び続け、素晴らしい楽器にめぐり合い、たくさんの楽器を選定してきました。そして、数年前に楽器製作者陳昌鉉さんと出会い、その命をかけた楽器製作現場で一緒に立ち会って楽器を育て、陳昌鉉さんが亡くなってからも、御子息の陳昌鼓さん、陳昌龍さんとパートナーとして、友人として付き合って頂ける幸運に出会いました。
みなさまに、少しでも良い楽器と弓を、少しでも安く、安心して使って頂きたいと陳さんたちと考えています。
ぜひ、9月21日に皆様の楽器選びのお手伝いをさせていただきたいと願っています。
弓製作の陳昌龍さんと
ケースも個性的に!
展示即売会では普段このあたりのお店では手にとって見ることのできないヴァイオリンケースも展示販売いたします。単に「入れ物」としてのケースではないのがヴァイオリンケースです。大切な楽器を持って移動するときに、丈夫で軽く、できることなら「おしゃれ」でありたいですよね?今回はこだわりのケースたちをそろえてみました。
ドイツ GEWA社製、IDEAケース
IDEA 1.8
カーボン色
1.8キロ
定価 115,500円
IDEA 2.0
シルバー色
2.0キロ
定価 105,000円
IDEA 2.3
白、赤、赤紫、紫
2.3キロ
定価 68,250円
昔はケースといえば「ゲバ」でした。木製の重たいケースでした。現代のケースの主流派FRP、グラスファイバー、そしてカーボンです。アコードというメーカーのカーボンケースが一時期、ソリストの間で人気になりましたが、割れやすいという致命的な欠陥があり私はお勧めしません。お持ちのケースからこの機会に個性的なケースにしてみませんか?
弓も試奏できます
展示即売会の知らせ
ヴァイオリン製作職人「陳昌鼓」氏と弓製作職人「陳昌龍」氏による
ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ 弓毛張替え・楽器調整
2013年9月21日(土) 午後1時より午後4時まで
橋本駅南口すぐ「メリーミュージック」
お二人の最新の作品を試奏し、その場でご購入いただける
またとないチャンスです。
お二人の楽器・弓のほかに、入門用に最適な10万円からのヴァイオリンなども多数展示します。
弓の毛張替えは予約制となります。所要時間は約1時間です。
お手持ちの楽器の駒・魂柱位置の調整も、予約制となります。
お問い合わせとお申し込みは、お電話で
042-771-5649(メリーミュージック)
午後1時より、昨年5月に亡くなった世界的なヴァイオリン製作者、陳昌鉉氏の遺作ヴァイオリンと、同氏2010年製作のヴィオラ、陳昌鼓氏製作の最新ヴァイオリンを陳昌龍氏製作の弓で演奏するトークコンサートも実施します。
製作者のお二人のお話も伺いながら、楽器ごとの音色の違いをお楽しみください。
GEWAをはじめとするヴァイオリンケースも特価にて販売いたします。
なお、すべての楽器・弓・ケースはこの日だけの特別価格販売となりますので、ご了承ください。
写真は、当日演奏する2010年陳昌鉉氏製作のヴィオラです。
教室の発表会開催
オープンから10年目に
時はさかのぼり2004年8月26日。
橋本駅南口に小さな音楽教室「メリーミュージック」が誕生しました。
まだ学校で音楽の教員をしていた私が、父の介護と教室の開業という、今考えれば恐ろしいようなエネルギーでこの日を迎えました。写真はビルの入り口に看板を取り付けているところや、スケルトンで何もなかったスペースに、仕切りをつくり、中古の防音室をはめ込み「レッスンスタジオ」と「待合室」を作っているところ。そして、開業当初、働いてくれていた元教え子の女性二人。当時はこんな奇抜なユニフォームでレッスンもしていました。新聞に折り込みチラシを入れてもらい、レッスンを受けてくれる方にヴァイオリンセットを「無料プレゼント」という当時誰も考えなかった突飛ともいえるアイデアで生徒を募集しました。150セットのヴァイオリンを購入し、搬入された楽器に番号を書き込みながら、これで失敗は許されないと思いながらも、恐怖は感じませんでした。オープン初日、8月26日から電話のベルが鳴り続け、1週間で約100人の申し込みがありました。僕の夏休みも終わり、20年間の教員生活を終わらせる決意をしたのもこの時期です。それから丸々9年が経ちました。教室はそのまま、システムやスタッフは変わってきましたが、ボクは相変わらず。これから、さらに変化を続けるメリーミュージックであり、自分でありたいと思っています。
弓製作職人陳さんと
音楽を楽しむ仲間
昨日の午後、浩子先生の中学時代の友人お二人と、お一人のご主人が我が家に遊びに来てくださいました。お友達はガーデナーとフルート専門の楽器店にお勤めの女性。ご主人はジャズフルーティスト。私を含め、全員が違う楽器を仕事にしていたり、趣味にしていたり。
持ち寄って頂いたお料理に加え、我が家のキッチンでてきぱきと料理されたり、私たちは前日から作っておいたお料理を出したり…おなかが痛くなる位笑って食べて…。お楽しみには音楽。勉強でもなく、仕事でもなく、決め事もなく、始まりも終わりもなく、ただそこに音楽があって一緒に遊んでいる仲間たち。とってもとっても素敵なことです。技術がどうの、音楽性がこうの…そんな次元の話ではなく、会話のような音楽があるから笑えたり感動したりできます。みなさんも是非、身近な人と音楽で遊んでみて下さい。