メリーミュージックブログ

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03月

緊張を味方に付ける考え方

映像はオリンピックのフィギアスケート女子シングルで金メダルを取ったアリサ・リュウ選手のインタビュー映像です。
彼女の経歴や国籍、誕生にまつわる話にも興味があり調べましたが、ここでは敢えてそこには触れません。このアスリートが大舞台で見せたメンタルの強さをテーマに考えてみます。
多くの選手たちがプレッシャーに押しつぶされ、恐らく普段の練習や通常の大会では考えられないような大きなミスをしてしまいます。
中には「国家」「国民」からの過剰な期待が原因になる選手もいます。そんな中で彼女の今回の演技は「本人が楽しんでいる」ように感じ見ている私たちも自然に楽しめたように思います。「勝つこと」を何より優先していれば人間の真理として「頑張って」しまいます。
どこにその違いがあり、彼女の意識は何を求めていたのか?

インタビューの中で「対策より経験が第一」と言う言葉が印象的でした。勝つための準備や練習に主眼を置いても経験がなければ勝てない。事実、北京オリンピックで苦しんだ彼女は一度スケートから遠ざかり「普通の生活」を取り戻しました。幼い時からトップの成績で注目を集めた彼女でさえ「苦しんだ」と言う表現をした過去があります。
そして心理学を学んだ彼女の「脳の成長」が新しい人生観をつかむきっかけになったのかも知れません。「人とのつながり」当たり前のようで勝負の世界では必要性の低そうな他人との絆を大事にする考えに感動します。2位3位になった日本人選手について問われると「3人とも人生の違う段階にいます」と答えています。なんと素晴らしい答えでしょう。単に技術を語るのではなく「人生の段階」と言う言葉。まさに経験こそが大切と言う言葉の証明です。

緊張することは自然は生理現象です。不安な気持ちになった時に心拍が速くなったり手に汗をかいたり、膝ががくがくしたりすることは避けることのできない現象です。犬や猫でも不安になった時に普段と違う行動をします。防御本能の表れだと思います。
不安が少なければ緊張の度合いも少なくなります。いつもと違う環境に出ることが予め分かっている場合、例えば演奏会や試合がの前に「本番のイメージ」を頭の中で作って練習・準備することも出来ます。
不安のない普段の練習で本番での自分を想像しながら練習するのが「イメージトレーニング」です。
過去に経験した失敗の記憶も失敗の原因を理解すればイメージトレーニングの材料になります。
不安を完全に消し去ることは不可能です。本番の日、時間が近づくにつれて不安Nが吹浦でいきます。
極端な場合、本番の直前に楽譜を思い出そうとして「あれ?」とパニックになることもあります。
直前に練習した部分でさえ思い出せない気がする場合もあります。
人間の記憶は「脳」と「身体」の両方で再生されます。主に脳の記憶は冷静な時に「思い出す」事ができる記憶です。一方で身体が覚えている(実は脳の記憶ですが)運動は考えていない時に再生されます。
不安になる時=緊張する時に脳の記憶を無理やり呼び起こそうとするのは逆効果です。かえって不安が増えます。
1曲の演奏時間が5分間だとします。それを本番直前に一瞬で思い出そうとしても無理なのです。練習で演奏している時を考えれば分かります。1小節目を弾きながら最後の小説を考えません。2小節目を弾いている時に1小節目の事を思い出していません。つまり脳は演奏する順序=時間経過で記憶しているのです。常に次の音を考えています。その連続で時間が過ぎていきます。もちろん、練習で曲の途中だけを練習すうrことはあります。この場合に記憶しているのは曲全体の記憶とは違う記憶をしていることになります。むしろ身体が覚えるための練習です。
音楽もフィギアスケートも「時間と運動」が一つ塊になっています。自分だけが記憶している「次の運動」を再生し続けるのが演奏であり演技です。どんなに難しいパッセージでも必ずつながりがあります。突然15小節目から演奏したり、4回転ジャンプをするわけではないのです。
話を戻します。
不安が緊張の原因なので「安心」を感じられる準備をすることです。
人によって安心する環境は違います。信頼できる人と一緒にいるのが良い人。
一人になって集中するのが好きな人。自分が一番穏やかでいられる心理状態を探すことです。
アスリートの中には試合直前に決まったルーティンをする人が多くいます。
陸上短距離のウサイン・ボルト。野球のイチローなどは有名ですね。自己暗示の一種です。
掌に「人」と書いて飲み込む真似をする「おまじない」で本当に安心する=自己暗示が出来るトレーニングをした人なら効果があります。普段から自己暗示のトレーニングをしていない人が同じことをしても効果は期待できません。
練習で「どうすれば成功する=思ったようにできる」かを考えながら身体を使う事も暗示につながります。無意識に繰り返して練習するのは一時的に身体=筋肉・関節が運動を記憶しているだけなので再現性が低くなります。「考えながら繰り返す」ことが重要です。

 緊張を楽しむ発想も有効です。
そもそも普段と違う環境を「非日常」と考えることです。普段の生活で体験できない環境を不安に思うより「期待」することで直前の過緊張から解放されます。どんな演奏でも演技でも同じことは是帯に出来ません。聴く人・見る人も違います。同じ曲を弾いたたとしても演奏は以前とは違うものです。不安を楽しみに置き換えることは特別な事ではありません。
初めて食べる料理、初めて訪れる観光地などは不安より期待の方が大きいものです。
うまく弾こうとか間違えずに終わることを優先するより、一度しかない演奏の機会を心から楽しむ気持ちを持つ習慣を付け「経験」を積むことで緊張を活用できるはずです。
 最後に「緊張は生理現象」だという事をもう一度書いておきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

「絶対音感」の嘘ホント

映像はヴァイオリンとピアノで演奏した「ふるさと」ですが…
ヴァイオリンで弾き始めた最初の音の「音名」がすぐに分かる方は、
もしかすると?絶対音感をお持ちの方かも知れません。
答えは「レ」のフラットです。
YouTubeに動画でも時々「絶対音感」の意味を間違って使っている動画を見かけます。
音楽で使用される「12種類の音」の高さと音の名前が常に一致している状態を
「絶対音感のある人」と言います。絶対の対義語は相対です。相対音感はトレーニングで
絶対音感に近い音感に出来ますが「根本的」に違います。
試すのであれば「ソのシャープ」を歌ってみてください。
その音がピアノの音やチューナーを使って本当に合っているか?確かめてみてください。
前提はこの実験の間に楽器を演奏したり音の高さを知っている曲を聴いた後ではないことです。この状態から音の高さを「測って歌う」「測って音名を答える」のは相対音感の人です。
ラ=Aの音だけなら歌える・聴き分けられるのも「相対音感」が発展したものです。
私自身もその一人です。小学校1年生からヴァイオリンを弾いていますが絶対音感はありません。一般には言葉を覚える幼少期=2~5歳に音の高さと音の名前を繰り返し覚えると絶対音感が身に着くと言われていますが例外もあります。
そもそも鍵盤で1オクターブの中に12種類の音があることを知らない人がほとんどです。
さらに黒鍵にはシャープとフラットだけでも(ダブルシャープ・ダブルフラットを使わない)2種類の「音名」があります。ファのシャープとソのフラットは同じ鍵盤です。
絶対音感を持つ人の場合でもこの「異名同音」をすべて理解しているとは限りませんが、少なくとも「どれか1種類」の音名を間違えずに答えられるのが絶対音感です。
もっと厳密な絶対音感を持った人の場合、A=442ヘルツで記憶している人は444ヘルツ、445ヘルツの音を聴くと「高い」ことを一瞬で聴き分けます。まさに「人間チューナー」ですね。
この厳密な絶対音感のある人から見れば、何種類かの音の名前を答える人が「絶対音感があります」なんて笑ってしまうでしょうね。
絶対音感がなくても演奏できます。音楽の学校にも入学できます。プロの演奏家にもなれます。相対音感を鍛えれば良いのです。ただそれは「絶対音感」とは言いません。
意味を知らないで絶対音感!なんて言わないことです。