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楽譜が見えないから楽譜を覚える「記憶術」

楽譜が見えないから楽譜を覚える「記憶術」

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映像はチョン・ファン ホ氏の作曲した歌で直訳すると「愛する人 その時だけを」私たちが歌詞を和訳して付けたタイトルが「追憶~愛しい人へ」をヴァイオリンとピアノで演奏した動画です。
 2026年6月現在、私が生まれついて持っている網膜色素変性症の症状は進行を止めてくれませんが光を感じ、明るい場所なら明暗の区別も出来る視力を保てています。進行の速度や症状は患者一人一人違うのもこの病気の特徴です。若い時…30代までは普通の人と大差ない視力と視野がありました。指揮者のスコアを読むことも出来ましたし、オーケストラで二人で1冊の楽譜を見ながら演奏することも出来ていました。今考えると「うらやましい」自分です(笑)
 楽譜は見えなくても音楽を聴いて頭の中に楽譜をイメージできるのは「聴音」と言う技術を学んだおかげだと思います。多くの音大時代の知人友人は幼い頃から聴音やソルフェージュを学んで受験に備えていたので音楽高校入学当時、当然ですが私の聴音・ソルフェージュのクラスは「最下位レベル」でした。当時、日本で最も合格が難しいと言われていた学校の聴音・ソルフェージュです。以前にも書きましたが、私の場合は音楽高校の存在を知ったのが中学3年生でした。恩師の一言で受験を決意して初めて習った聴音・ソルフェージュ。ドミソの和音も答えられないレベルの中学3年生が「桐朋を受験する」なんて無謀すぎます(笑)が、他にやりたいこともなかった私は指導のおかげで超難関を通り抜けられました。その後も聴音・ソルフェージュは苦手でしたが高校卒業レベル、大学卒業レベルをそれぞれクリアして今に至ります。時々卒業できていない夢を未だに見ます…
 音楽を聴いて楽譜にする技術は恐らく聴覚が不自由な人以外なら誰にでもできます。年齢は関係ありません。文字の読み書きと原理は同じです。

 さて動画の演奏も私が楽譜を見ずに楽譜を覚えて演奏したサンプルです。厳密には数小節の楽譜を21インチのタブレットに表示して見ることは何とか可能なので「見えない」は嘘になりますね。
 そして今日、また新しい曲を1曲記憶しました。この演奏動画と同じ作曲家の「歌」で小節数も音符の数も大体同じ音楽です。
「覚えるためのプロセス」を書いてみると…
1.原曲(歌)を聴きながら「音名」を確認する
2.リズムを考える
3.少しずつ=1~2小節単位で覚えられる部分から記憶する
4.曲全体の構成=フレーズの小節数・近似するフレーズの相違点と分岐点の記憶
特に「4」が最大の関門になります。頭の中で2つのフレーズを2段に重ねリズムの違いと相違点を記憶する作業です。
これが整理できると後はヴァイオリンでもヴィオラでも演奏できます。

 人によって記憶する手順や方法は様々ですが脳の働きから「短期の記憶」と「長期の記憶」は別の部分に記憶されるようです。
音楽の演奏は原則として1小節目の最初の音から順番に演奏されますが「楽譜」を視覚的に考えた場合と聴く人が「音・音楽」として捉える場合には全く違う種類の記憶になります。もちろん聴く回数・時間によって音楽の細部まで記憶されるので「イントロ当てクイズ」のように楽譜とは関係なく記憶されることになります。
音楽を覚えたから上手に弾ける…と言う証明はできませんが、覚えることで自由に演奏できることは確かです。楽譜を思出せずに=忘れて演奏が止まるリスクはあります。楽譜を見ながら演奏すれば「忘れる」ことは回避できます。ただ実際には楽譜を読み取る速度と演奏の速度=楽譜の中で先に進むことを比べると、楽譜の情報を読み取る速度の方が遅くなります。読み取っている時間は他の「考え」は停止し無意識の運動になります。以前にも書いた「ながらスマホ運転」がその一例です。
楽譜をイメージしながら音色や音量をコントロールする演奏を楽しむために「聴音・ソルフェージュ」の技術を身に付けてみては?
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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