演奏する喜び・聴く楽しみを感じる「環境」を作る

未分類

 映像はNPO法人メリーオーケストラ第47回定期演奏会。
「ダッタン人の踊り」を小学生も高齢者もプロも一緒に演奏しています。「入場無料」のコンサートに300名以上のお客様が毎回のように音楽を楽しみに来られます。まさに「音楽の裾野」だと思います。
 プロの演奏会、一流ソリストのコンサートが有料なのは当然です。
演奏する人の「生活の糧」が演奏会なのですから。一方でアマチュア演奏家にとって「演奏の場」を自分たちで創ることは容易な事ではありません。プロの演奏技術はありません。アマチュアだけの演奏会で聴衆を満足させることは極めて難しいことです。「アマチュアだからヘタでもいい」と考えるのはアマチュアの思い込みです。
 例え無料で食べられる料理であっても、食べる人の事を考えずに作った料理は「人に食べさせてはいけない」ものだと思います。
 プロの演奏家の立場で言えば、アマチュア演奏家と一緒に演奏することが自分のプライドを傷つけるリスクもあります。長い期間と努力の結果「プロ」になった演奏家が、技術の未熟なアマチュアと演奏することが「つまらない」と感じる人もいるでしょう。「学ぶものがない」と考えるプロもいるかも知れません。価値観を否定するつもりはありません。
 プロももともとはアマチュアです。もし自分が音楽に「憧れ」を持つきっかけが無かったら?プロの演奏会になる事は考えなかったはずです。自分がプロになって演奏する喜びを感じているなら、その「きっかけ」を作ることに躊躇する理由がわかりません。「プロは甘い物じゃない」と言うのならアマチュアと一緒に演奏して「プロの腕前」を披露すれば良いだけです。一緒に演奏したアマチュアが「すごいなぁ」と思える演奏を隣でする「自信がない」のでしょうか?

 生の演奏を聴きにコンサートに出かける人は日本全体で一体どのくらいの数でしょうか。むしろ「行ったことがない」人と「行ったことがある」人を比べたらどうでしょう?
 ロックのライブ、ジャズのライブ、ミュージカル、合唱のコンサートなど「コンサート」にもたくさんの種類があります。それぞれに特徴があります。「ドーム」でのコンサートは音楽を聴く・見ると言うよりも、雰囲気を楽しむお祭りに近いイベントです。昔ながらの「ライブハウス」では演奏者との距離が近く「息使い」まで感じられます。
 アマチュアのコンサートでも入場料を支払う場合があります。特段、問題はありません。

利益をあげるための金銭ではなく、演奏会の「経費」の一部を聴衆にも負担してもらうことが目的なら法的にも「興行収入」には当たりません。これは音楽のジャンルに関わりません。

 コンサートは誰のために開催するのでしょうか?
演奏の「技術」を判断できなくてもコンサートは楽しめます。
演奏者の技術が高ければ良いコンサートになるとも限りません。
入場料の金額でもコンサートの「質」は変わりません。
演奏する曲目やジャンルで聴衆の満足度が決まるものでもありません。
ただ、はっきり言えることがいくつかあります。
・演奏する人がいる
・聴く人がいる
・演奏会を陰で支える人がいる
これらはどんなコンサートでも共通している事です。
「お金」の問題ではなく、聴く人のいないコンサートで演奏するのを「コンサート」と呼ぶのは辛いものです。演奏者がどんなに素晴らしい演奏をしても、聴衆がいなければ練習と変わりません。陰で支える人がいなければコンサートの幕はあげられません。当たり前ですが、演奏者がいないコンサートは「CD鑑賞会」でありコンサートとは呼びません。

 音楽を演奏する喜びは、聴いてくれる人の拍手と笑顔を貰った時に最大になります。もちろん聴衆が10人より100人、100人より1000人の人が聴いてくれることも重要ですが、何よりも自分・自分たちの演奏を人に喜んで貰えたことが幸せの絶頂感を感じさせてくれます。
 では聴く側=聴衆の立場で考えた時に「聴きに来てよかった」と感じるコンサートとは?

そもそもコンサートで音楽を聴くことは何が楽しいのでしょうか?
 スマホでいつでも・どこでも・無料で・好きな音楽だけを選んで音楽を聴くことが出来る現代です。音質も「それなり」に楽しめれば満足。お金を払ってまで音楽を聴く人は、特定のアーティストのファンだけかもしれません。流行する音楽もなくなりました。
そんな今、時間とお金をかけて音楽を聴きに行くこと自体が「非日常」です。趣味でスポーツをしたり、山登りをしたり、釣りをしたり。キャンプや旅行、読書や散歩。色々な「非日常」を楽しむ人がいます。お金と時間が必要な趣味もあります。でも「好きな事」だから問題になりません。もったいないとも思いません。
 コンサートで音楽を聴くことは「趣味」として成立しないのでしょうか?読書やスポーツを観戦するのと同じで、誰かの「仕事」を見たり聞いたりすることも趣味になり得ます。

 コンサートで音楽を楽しむ「趣味」を広めたいと思っています。
人間が演奏する姿を見ながら録音とは違う音の広がりを感じるのがコンサートです。

イヤホン、スピーカーの音とホールに響く音の「聴こえ方」はまったく違います。数値の違いより「体感する」音が違います。「良い音」と言う定義は人によって異なりますのでコンサートの音が「良い音」だとは言えません。自分の知っている曲だけを演奏するとは限りません。初めて聴く音楽と出会うかもしれません。
 人間の演奏は毎回、演奏するたびに変化します。同じ曲を同じ演奏者が同じ会場で演奏しても、演奏の中身は「似て非なる」音楽です。
録音された音楽はいつも変わりません。それはそれで楽しめます。
生身の人間が「一度しか出来ない演奏」を聴くのがコンサートです。
 クラシックは楽譜の通りに演奏することが原則の音楽です。「レシピ」が決まっています。しかし演奏する人間が違えば、出来上がる「料理」は作る人によって変わるものです。レトルト食品がCDの音楽なら、人の作る料理=食べてくれる人のために作る料理がコンサートの音楽です。プロの演奏家の演奏が「レストラン」の料理だとしたら、アマチュアのコンサートは「家庭の味」に近いものです。見た目や食器は平凡でも「愛情」はプロの料理よりたくさん(笑)入っているかもしれません。
 ぜひ!コンサートで色々な音楽を味わってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

コメント

タイトルとURLをコピーしました