映像はロゴス教会で演奏したサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」
普段からクラシック音楽、ヴァイオリンの演奏を聴く習慣のある方と「そうではない」方が私たちのコンサートに来てくださいます。古くからの友人の中でも大きく2分されます。音楽を聴く習慣がある人の「人口」は昔から変わっていないかも知れません。
暮らしている地域に「ホール」「ライブスペース」は昔より多少、増えているかもしれません。過疎の地域でも立派なホールが残っていることもあります。自治体によっては「音楽」を文化の重点として考えている地域もありますが、実際には多くの自治体が「文化より公共工事」を優先します。
私たちのコンサートでは聴いてくださる方に、一人でも多くの方に喜んでもらえるコンサートを第一に考えて演奏曲を選んでいますが、選曲の「基準」は演奏者によってまったく違います。
演奏する本人が好きな曲、得意な曲を演奏したい気持ちは共通しているはずです。
自分で自由にプログラムを決定できない場合もあります。主催者やコンサートを企画する事務所の意向が優先することが殆どです。アマチュアオーケストラの場合は、メンバーが相談して決める場合と指揮者が提案する場合があります。
クラシックファンが多く集まるコンサートの場合なら、より「マニアック」な選曲が好まれるかもしれません。演奏されることが少ない曲や「大曲」「難曲」が好まれる傾向もあります。さらに「セオリー」とも言えるプログラム構成があるのも「マニア」の中では当然のことです。私たちのような「ピアノとヴァイオリン」「ピアノとヴィオラ」つまり2重奏のコンサートで「デュリサイタル」と銘打ったコンサートでは、それぞれの「独奏曲」があり、その後に「ソナタ」を演奏する。アンコールで小品を数曲。これが「普通」と言われています。私自身も20歳の時にある音楽団体から「デュオリサイタル」のお話を頂き、先輩ピアニストとのコンサートで演奏させて頂きました。
「ピアノソロ」「ヴァイオリン無伴奏曲」後半にピアノとヴァイオリンの為のソナタを2曲。アンコールにフォーレの小品を2曲。当時は「当たり前」に感じていました。
お客様の反応にも今ほど関心はありませんでした。そもそもチケットの殆どは主催者が販売してくれていましたので選曲を考える必要もありませんでした。
2008年からスタートした浩子さんとのコンサート。どちらが主役でも脇役でもなく「伴奏」ではなくすべてが「デュオ=二重奏」です。二人三脚とも言えます。私の眼が不自由になってからは「二人羽織」(笑)になっています。
聴いてくださる方を探すのも私たちの仕事です。演奏する「チャンス」を探します。普段、音楽を聴かない環境の中でも喜んで演奏します。保育園や幼稚園で園児の目の前で演奏することも、高齢者の施設、公民館での催し、おもちゃ美術館などなど。
ヴァイオリン・ヴィオラとピアノの「生の演奏」を初めて聴く方の前でも演奏します。聴いてくださる方の年齢層が狭い場合、例えば幼稚園や高齢者施設の場合には「聴いたことのあるであろう曲」を考えて選びます。その上に「らしさ」ヴァイオリンらしい音色・ピアノらしい曲・ヴィオラならではの曲で「短い曲」を含めます。
「クラシックは長くてわからなくて、つまらなくて、聴いていて飽きる」と感じられたら私たちの選曲と構成・演奏が悪いのです。「好み」以前に誰が聞いても長い・分かりにくい音楽は嫌われるのが自然です。特に「初めて」の経験がそうであれば最悪です。
多くの「クラシック興味なし」と言う方のお話を聞くと、小学校・中学校で「名曲鑑賞」で刷り込まれている確率が極めて高いことがわかります。「鑑賞教材」をレコード、CDで「聴かされ」「鑑賞文を書かされる」思い出でクラシックから遠ざかります。
一方で同じ体験をしても、クラシック好きになる人もいます。多くは学校以外で音楽に触れる生活をしていたり、家庭でクラシック音楽を聴く習慣があるケースです。
クラシックに関心のない人にも喜んでもらえるコンサート。私たちのコンサートをきっかけに、少しでも音楽を聴く生活に変わる「かも知れない」期待。
そんな私たちのコンサートですが、多くの方が「曲名を聴いたことがある」曲で実際に演奏を聴いて「楽しい」と思える曲がいつくかあります。ツィゴイネルワイゼンもその一つです。演奏する人によっては「得意!」と感じる人もいるのですが、正直私は自分の演奏に対して「不満」ばかりが残ります。聴くのは好きなのですが(笑)自分のテクニックの足りなさを痛感する曲なのに、なぜか?若い頃にオーケストラと一緒に演奏した「暗い過去」があったりします。少しでも納得できる演奏に近づきたい気持ちはあります。それでも演奏すると多くの方が喜んでくださる姿をみると「なんとかがんばって!」プログラムに取り込むようにしています。「プロなのに」と言われれば返す言葉がありませんが誰でも得手不得手はあると思います。逆に自分が得意だと思っている音楽に「甘え」や「自己満足」が多く含まれていることも気づかされます。
聴いてくださる方が満足できる演奏と、自分の満足は別物です。
もちろんそれが一致することが理想です。聴いてくださる方が喜ばれる演奏の中で、どこに?楽しさを感じてくださるのかを考えることも演奏者には必要なことです。
速い曲が苦手…自分では今も思っていますが、苦手と思うから必死に練習することも事実です。
好きな曲が喜んでもらえるとは限りません。これも経験です。
演奏は聴いてくださる方のためにするものだと考えています。自己満足で終わるなら人前で演奏するのは間違っています。初めて聞いた方が「楽しかった」と心から思っていただけるコンサートを目指して、これからも演奏の機会を求めて生きたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介


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