映像はヴィオラとピアノで演奏したバッハの「G線上のアリア」として知られている「管弦楽組曲第3番よりアリア」です。
面白いことにオリジナルであるオーケストラによる演奏でも「G線上のアリア」として呼ばれることがあります。
知っての通り「G線上」は弦楽器の「G線=開放でG=ソ」の音が出る弦だけで演奏することを強調した呼び名です。
実際のところは「ハ長調=Cdur」に移調して演奏している時点で「アレンジ作品」ですからG線だけで演奏することに固執する理由もあまりないと思います。強いて言えばヴァイオリンの最も低い音を出す「G線」だけで演奏すると、ハイポジション=弦の長さが短くなる」で演奏する音に独特の音色が生まれます。
最低音が「G=ソ」、最高音が1オクターブ高い「H=シ」になります。ヴァイオリンでG線の高い音を演奏するためには、左手が楽器の「肩」を乗り越えて顔の前付近まで左手を持ってくる姿勢になります。曲によってはもっと高い音をG線で演奏「してね!」と作曲家や編集者が指定する場合もあります。
ヴィオラでこの曲を「ヴァイオリンと同じ音の高さ」で演奏することが出来ます。実際に映像でもそうしています。
「ヴィオラとヴァイオリンの音の高さの違い」は?
簡単に言えば、ヴィオラはヴァイオリンより「5度低い音=C・ド」まで演奏できる」と言うことになります。ヴァイオリンの最低音は「G=ソ」です。その音から低い方に「ファ・ミ・レ・ド」と下がった音が「C=ド」でヴィオラの最低音です。
最低音が5度低いなら、最高音は?と誰でも疑問に感じませんか?実際にヴァイオリンで「実用音域」とされる高い音は「D=レ」と言われていますが、どこのレ?(笑)
ヴァイオリンの一番細い弦「E線」は開放でE=ミの音が出ます。ピアノの鍵盤で言えば「中央のド」のすぐ近くの「ミ」から1オクターブ高い「ミ」がE線の開放=左手で押さえない音になります。
実用音域の最高音はその「ミ」の1オクターブ上の「ミ」からさらに上に上がった「レ」なので、相当に高い音ですね。
ヴィオラは?ここでヴァイオリンとは決定的な違いがあります。それは「楽器の大きさ」です。ヴァイオリンより約5センチから7㎝長い「ヴィオラ」は当然「肩」の部分も演奏者から遠くなります。人間の左手の長さは人によって違いますが、演奏する楽器によって変えるわけにもいきません(笑)
つまりヴィオラでハイポジションの演奏をすることは、物理的に「無理がある」のです。
「いやいや!チェロだってヴァイオリンと同じ位の高音が出せるぞ!」とお怒りの方(笑)それは「楽器と身体の向き」を考えてもらえれば理解できます。
ヴァイオリンとヴィオラは弦が「天井」を向いて左手を「逆手」にして弦を押さえます。一方でチェロ・コントラバスは?
弦が前=演奏者の正面を向く構え方で演奏します。左手は「親指・人差し指が上、小指が下」の状態です。ほぼ「順手」の状態です。チェロとコントラバスは弦の上に左手を完全にかぶせる形で演奏できます。さらに「親指」も使う事が出来ます。
ハイポジションに関しては、ヴァイオリンよりもずっと高いポジションで演奏できるのがチェロ・コントラバスなのです。
というわけで(笑)ヴィオラはハイポジションの演奏が「つらい」事をなんとなく理解して頂けたでしょうか?
G線上のアリアに限らず、ヴァイオリンで演奏できる曲の中でヴィオラでも演奏できて「ヴィオラの良さ」が活かせる曲もあります。同じ音の高さでも「音色」がまったく違うのがヴァイオリンとヴィオラです。ボディー=筐体の大きさが違うので「低音」の大きさが違い、さらに弦の長さも違います。ヴィオラの方が長い弦ですが、ヴァイオリンの「低い弦3本」とヴィオラの「高い音の弦3本」は同じ高さに調弦=チューニングします。
「弦の長さが長くなると音は低くなる」事を理科で習いましたよね?(笑)弦の太さが太くなると音が低くなります。張りを強くすれば高い音になります。
ヴィオラの弦はヴァイオリンと比較して「長い・太い・張りが強い」ことで同じ高さの音を出せています。細くすれば楽に抑えられると思いがちですが、筐体を響かせるだけの「音量」を出すために太さはヴァイオリンとほぼ同じに作られています。
最後に「ヴァイオリンとヴィオラのどちらが好き?」という疑問?質問?についてお答えします。
私個人の考えですが「それぞれに良さがある」ので甲乙はありません。
曲によって「ヴィオラが向いているかな?」と感じる曲もありますし、逆にヴィオラで弾くと曲のイメージがイマイチ…ということもあります。これおも好みなので人によって意見は違います。
G線上のアリアをぜひ、聴き比べてみてください。
下にヴァイオリンで演奏した動画を載せておきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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