ヴァイオリンの音域

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 映像はグラズノフ作曲の「瞑想曲」です。
今回のテーマは、ヴァイオリンが演奏できる音域を有効に使った音楽について。
以前のブログで書いたように、弦楽器(ヴァイオリン族」の中で、ヴァイオリンは最も音域の狭い楽器です。ヴィオラはヴァイオリンより完全5度低い音が出せますが、演奏技法=左手指を
抑える構えがヴァイオリンと全く同じであるうえに、ボディーサイズが大きいため、ハイポジションで演奏できる範囲が、ヴァイオリンよりも狭いため、演奏できる音域の「音程=幅」はヴァイオリンと変わりません。一般に、ヴァイオリンの音は「高い」と言う印象がありますよね。
もちろん、ヴァイオリン族の中では、最も高い音を演奏できる楽器であり、弦楽合奏でも最も高い声部を担当します。

 ヴァイオリンの為に作曲された音楽は、それぞれに音域が異なります。
最低音の高さ「G」が出てこない曲も珍しくありません。高音の場合「実用最高音」と言われるヴァイオリンで演奏出来て、音楽の中で「かろうじて使える」高温があります。1番細い弦「E線」のハイポジションで出せる高音は、同じE線の「技巧フラジオレット」と言う演奏方法でも出すことができます。瞬間的な短い高音は、主にこのフラジオレット=ハーモニクスでの技法が用いられます。
ただ、音量が小さくなってしまうという致命的な問題があります。

 グラズノフの瞑想曲を聴くと、G線から始まり短い時間でE線にまで音域が上がっていきます。オクターブで考えると、1小節目の中で1オクターブ高くなり、2小節目はその1オクターブの範囲内で演奏されます。3小節目からは、さらに1オクターブ高い音、さらに4度高いE線の「D」まで高くなります。
その後、数小節間で冒頭の音域まで下がります。

 声楽曲の旋律を楽器で演奏する場合、ほぼ1オクターブ内の音域で作曲されています。曲の途中からオクターブを上げてみたり、2コーラス目を下げてみたりすることがあります。その場合には、ヴァイオリンやヴィオラの「最低音」と曲の「最低音」を考えて、調=キーを決めています。
 曲の「雰囲気」と「音域」と、演奏する楽器の音域による「特色」を考えて演奏している動画です。

 ドビュッシー作曲の歌曲「美しい夕暮れ」をヴィオラとピアノで演奏してCDに収録したものです。音楽の持つ「淡い色彩感」「甘美な旋律」「独特な和声感」を、ヴィオラの最低音域を使いながら演奏しました。
 「カラオケ」の場合、音源自体が「デジタル化」されているため、歌う人の歌いやすい「キー」に、リモコンの「+」と「-」キーで移調することが簡単にできます。ちなみに、先ほどの「美しい夕暮れ」の演奏を、デジタル化して3度ほど高くした「実験映像」を創りましたが、音色がなんとなくおかしいですよね?

 ヴィオラのビブラートが微妙に「細かく」なっています。
絶対音感の鋭い方がお聞きになると、気持ち悪いかもしれません(笑)
音の高さを「デジタルで変更する」場合に、速さも変えることも同じテンポのままで音の高さを変えることもできます。逆に言えば、テンポを変えても音の高さを変えないのが、Youtubeの「設定」にある「速度」を変化させた場合です。
 いずれにしても、実際に歌ったり楽器で演奏する「調=キー」によって、聴いた印象が変わります。半音変えるだけで、全く違う「雰囲気と音色」になります。

 最後にヴァイオリン・ヴィオラの音域ごとの音色について簡単にまとめます。
一般的に、ヴァイオリンのE線は他の3本の弦と「弦の構造」が違います。E線は鋭く明るい音色になります。ヴィオラの場合には、基本的に同じ構造の弦を4本張ることができます。
 楽器ごとの個体差によりますが、多くの場合に一番太い弦=低い音の弦がもっとも「音量が大きく」「音色のバリエーションが豊富」です。細い弦=高い音の弦は「音が明るい=耳に大きく聴こえる音域」の音がだせます。
 それぞれの弦で、長さが変わる=押さえる位置が変わると、高さだけではなく音色が変わります。当然のことですが、一番細い弦で一番高い音が出せますが、それが「一番美しい音」とは限りません。私は、ヴァイオリンのG線が美しく響く楽器が好きです。4本の弦の音色と音量のバランスが取れている楽器も好きです。
 音域は「音の高さの違い」以外に、音色も大きく変わることが弦楽器の特徴の一つです。色々な調で演奏してみる「実験」をお勧めします。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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