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梅雨を乗り切るヴァイオリン管理方法

梅雨を乗り切るヴァイオリン管理方法

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 2026年5月29日。じめじめした季節が始まりました。
「梅雨」綺麗な文字とは裏腹に、人間も木製の楽器も「不快」なシーズンの到来です。もちろん農作物にとってこの季節が大切なことは間違いあれませんが日本が「亜熱帯気候」の地域なんだと思い知らされます。
 ヴァイオリンなどの弦楽器にとって「湿度」の変化は温度の変化異常にダメージを受ける「大敵」です。
 以前紹介した「ストラディバリウスの謎を解明」などのブログで書いた通り「本来」ヴァイオリン制作に用い足られる木材は伐採され、板状に切られた後で自然乾燥させてから加工が始まります。
 元々水の分子=水分を含んでいた木材を数カ月から数年かけて自然の状態で水分量を減らすることで「締まった音」「乾いた音」が出せるようになります。水分の多い木材は「余韻のない音」で余韻も少なくなります。
 正しい工程で作られたヴァイオリン程、空気中の水分を「吸い込みやすい」性質になります。例えて言うなら「タオル」2枚のうち、1枚を水に浸し軽く絞った状態にして、もう1枚のタオルはアイロンなどで水分を蒸発させて、湿度の高い浴室などに放置したら?
濡れたタオルは乾くこともなく、それ以上水分を含むこともなく同じ状態。一方で最初はカラカラに乾いていたタオルは、みるみるうちに水分を吸い取って「湿気た状態」になるはずです。
 今回は梅雨時のヴァイオリンの管理方法について私の経験ももとに考えてみます。

 ヴァイオリンは「演奏するための楽器」です。飾って鑑賞するための美術品ではありません。
1.ヴァイオリンを演奏する時間の対策
自宅で練習する場合やホールなどで演奏する場合にヴァイオリンに「一番近い場所」に演奏者がいます。梅雨時、蒸し暑い場所で演奏すれば「汗」をかきます。手だけではなく首にも顔にも胸部にも汗と言う水分が楽器に吸い込まれます。部屋が蒸し暑いという事はヴァイオリンの周囲の空気にも多くの水分がありますから、演奏しなくても楽器は湿気を吸い込もうとします。楽器を「守ってあげる」気持ちがあるなら扇風機でも冷房でも良いので演奏者が汗をかかずに演奏できる環境を整えることです。楽器も喜んでいます。小まめに汗をふき取って挙げることも大切なことです。ヴァイオリンの表板よりも裏板=背板の方が身体の汗を吸い取りやすい場所にあることを忘れ是に。
2.ヴァイオリンをケースに入れて持ち歩く時の管理
まず「ケースは密閉容器ではない」ことを考えてください。
密閉容器なら中に入れたものは外気の湿度に影響されにくくなります。容器によっては蓋を閉めたあとで容器の中の空気をポンプで抜き取るものもあります。ヴァイオリンのケースは?空気どころか「雨水」までケース内部に入ります。「高級なケースだから」と思われますが実際にカーボン製、樹脂製の多くのヴァイオリンケースに水をかけて「水漏れ」をテストした結果を見ています。メーカーは控えますが「最も高額」なケースは蓋の合わせ目から大量に水が入りました。
密閉されていないケースの中で「除湿剤」は効果があると思いますか?除湿剤が吸っている水分は「ケースの外の湿度」です。外出中なら屋外の私たちが吸っているのと同じ空気です。
 少しでもケース内に雨水を侵入させたくなければ「蓋の継ぎ目・合わせ目」に雨がかからないように「レインカバー」をかけてあげることです。カーボンや樹脂製だから大丈夫!ではありません。
3.家の中で管理
ヴァイオリンをケースいに入れて「保護する」必要がある場合もあります。室内でペットを飼っていたり、小さな子供がいる場合に楽器をスタンドに立てて置いておけない場合もあります。楽器にケースの内張りに使われているビロードなどの布が密着することは湿度の逃げ場がなく、楽器の周りに空気が流れないこともあり、出来れば楽器の表面を空気が動く=流れる環境が理想です。
部屋全体の湿度が高い場合にケースに入れたからと言って湿度が下がるわけではないことは私たちが蒸し暑い夜に「掛け布団」をかけずに寝ることを思い出せば理解できると思います。

 最後にケースにヴァイオリンを入れて移動や保管する場合の「除湿」について考えます。先述の通りケース内部は外部の湿度と同程度の湿度があり、空気が動きにくい環境で楽器には辛い環境です。私が過去の経験からお勧めするのは以下の豊富です。
1.梅雨時、特に外出したり雨の降った日にケース内部のすべての物を取り出し、ケース内部の布部分に低い温度のアイロンを当てるかドライヤーの温風を丹念に当てて布の湿気を乾かし蓋を開けた状態で熱を完全に冷ましてから楽器屋弓、このを収納する方法
2.楽器(ヴァイオリン)を収納した状態に、アイロンがけをして熱を完全に覚ましたスポーツタオル(楽器の全体を覆える大きさ)を楽器の上=楽器と弓の間の空間に乗せる
特に「2」の方法は手軽で簡単ながら楽器全体の「周辺の湿気」をタオルが吸い込むので楽器にとって快適な状態を保てます。当然ケースがイブの湿度も吸ってしまうために、カラカラだったタオルが一日二日で「ふにゃふにゃ」な状態=湿度を吸った状態に変わりますので小まめにタオルを取り換えることが大切です。
 木材で作られた楽器、家具など多くの製品すべてに共通することですが湿度の高い季節には膨張し乾燥すれば収縮します。鉄のっ場合には「熱」で伸縮することと大きく違います。特に新しい木材は水分を吸収する力が強いのが特徴です。しかし古い楽器でも長期間、乾燥した国や地域で使用されて乾燥した状態で演奏されていた場合には、急激な湿度と温度の変化によって、楽器の接合部の「ニカワ」の接着力が下がることに加えて木材の膨張もあり接合部に空間が出来る状態=「剥がれ」が起こります。剥がれの場所と面積によって「びびり音」剥がれた板同士が楽器の振動でぶつかり合う雑音が出る場合もあります。雑音が出ない場合でも板同士が振動を伝えなくなるために健康な時と比べて音色が変わります。表板、裏板を軽く手の指の関節の骨で叩いて剥がれを確認できる場合があります。剥がれた箇所のニカワをへらで取り除き、新しいニカワを塗って両側から圧力をかけ続けることで復活しますが素人が行う作業ではありません。
 新しい楽器の多くはニカワの接着力が強いため簡単に剥がれることは珍しいことですが「剥がれない」とは言えません。
 演奏する時に場所を選べないことも実際にあります。湿度の高い場所で汗をかきながら演奏すれば楽器は多くの湿度を吸い込み膨張し、熱によってニカワの接着力も下がります。だからと言って演奏しないわけにもいきません。演奏後の「管理」こそ大切になります。
「完全密閉型ヴァイオリンケース」は今現在まだ販売されていません。重さと価格の問題です。私自身15年ほど前に楽器の開発に携わりましたが「完全防水」には至りませんでした。アイデアは頭の中にあるのですが開発から製造販売にこぎつけるまでに「千万」を超える資金が必要になることが分かっています。木製のケースも樹脂製、カーボン製のケースも「開口部」が最大のネックです。この問題さえクリアすれば水も空気も侵入しないヴァイオリンケースを作ることが出来ます。「コロンブスの卵」は頭の中の絵に描いた餅で終わるのかな?
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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