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同じヴァイオリンでも

同じヴァイオリンでも

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 映像はフランスのヴァイオリニスト「ステファン・グラッペリ」の演奏。
1997年に89歳で他界。数多くのレコードを残しています。メニューインやヨーヨー・マとの共演は「クラシックとのフュージョン」として話題になりました。
 あえて「ジャズヴァイオリニスト」としませんでした。演奏する曲、ジャンルで肩書きを付けることに抵抗を感じます。ピアニストのばあい「ジャズピアノにスト」と「ピアニスト」とあった場合に後者は「クラシック音楽のピアニスト」を指す事が一般的かも知れません。
 ヴァイオリンの「技法=テクニック」で見たグラッペリの特徴を考えるより「演奏の自由度」がクラシック音楽の楽譜を演奏するヴァイオリニストと明らかに…完全に違います。
 グラッペリが楽譜に従ってクラシック音楽を演奏していたか?出来たか?好きだったのか?それは本人にしか分からないことかも知れません。

上の動画はメニューインとグラッペリの演奏。右のスピーカー(ヘッドホン)から聞こえるのがグラッペリ、中央に定位=両方のスピーカーから聞こえるのがメニューインの音だと思われます。
 グラッペリはメニューインに気を使いながら「ある程度」旋律を崩さないことに主眼を置きながら、それでも自由に即興(と思われる)的な音を加えながら演奏しています。一方メニューインは「予め決めた通りに」きちんと(笑)演奏している気がします。当たり前ですが「どちらが良い」と言うものでもなく、私は二人の音=どちらも大好きです。違いはあります。楽器の個性などよりも「根本の違い」だと思います。

 とても乱暴な表現ですが「なんちゃってジャスヴァイオリン」言い方を変えれば「ジャズ風に演奏するクラシックヴァイオリン奏者」がいます。私自身、過去に「枯れ葉」や日本のPOPSをヴァイオリンやヴィオラでピアノと演奏した際に「なんちゃって」に挑戦して自爆しました。黒歴史の一つです。
 私自身、ジャズの勉強をしていないし経験もほぼ「ゼロ」なので間違っているかもしれませんが、ジャズの演奏に際して独特の「約束」と「セオリー」「理論」があると感じています。もっと言えば演奏者自身が作曲家の知識・技術を併せ持ち、演奏しながら即興で音楽を作る能力を持っている「と思います」(笑)本当に自信がないので保険をかけました。すみません。
 ジャズを専門的に演奏している方の「クラシック音楽演奏」の中に、どこか違和感を感じる事があります。先入観もあるのは否めませんが楽譜の通り「ではある」のですが正直に言って不自然でクラシックの「負のイメージ=楽譜通りに弾かないといけない」事に縛られて窮屈そうに演奏している印象を受けました。何よりも「慣れていない」ことが原因なのか音も美しくなく感じました。

 グラッペリの演奏を「自己流」と言う人がいますがクラシックのヴァイオリニストも最終的には自己流の演奏方法になるので同じことです。ピッチの正確さはメニューインと何ら変わりません。クラシックでヴァイオリンコンチェルトの独奏をする「演奏技法」と違うのは、無理に大きな音量を出そうとしないことです。音色の変化と「より弱い音」への変化量と変化速度の速さでオーケストラに「負けない音量」を無理に出そうとするヴァイオリンより遥かに自然な弾き方に感じます。
 グリッサンド、ポルタメント、ハーモニクス=フラジオレット、それらの演奏技術はクラシックと変わりませんが、ごく自然に混在させるため、特別な事をしているように感じません。実はとんでもなく難しかったりしますが(涙)

 ヴァイオリンに求める音の違いがあります。それはジャズだから・クラシックだからと言う違いではなく「演奏者が求める音」の違いです。「派手な音」「目立つ音」「大きく感じる音」を出したい人がいれば、「音量よりも音色の多彩さ」「柔らかさ」「太さ」を求めるヴァイオリン奏者もいます。
 以前にも書きましたが「生演奏」であっても会場によっては電気的に音を大きくして会場に音を届ける場合もあります。「それはクラシックではない!」とは言えません。事実レコードもCDも「電気的な処理」をしないと録音さえ出来ないのですから。「ソリストは派手な音」が正しいと思っている人が多いように思いますが、私には理解が出来ません。そもそも「ヴァイオリンコンチェルト」で作曲家が独奏ヴァイオリンとトロンボーンや打楽器を「同時に」演奏するように楽譜を書けば独奏者の音が会場で聞き取れるはずがありません。物理的に音圧が違いすぎます。「音が派手なら」それも程度問題です。むしろオーケストラの中で演奏しているヴァイオリン奏者より「派手」な音をだす必然性がありません。
 ヴァイオリンと言う楽器の「特性」があります。演奏者の「こだわり」があります。結果として演奏する会場の大きさ、一緒に演奏する楽器の編成、必要な処理が生まれるのが「ライブ」です。録音は別物です。音色も自由に後から変更できます。もちろん音量も。
 自然に楽器を奏でられたら…そう願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介


 

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