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コンチェルトもソナタも弾き方って同じ?

コンチェルトもソナタも弾き方って同じ?

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映像は私の高校3年生当時の演奏。ハチャトゥリアン作曲ヴァイオリンコンチェルト第1楽章。
今回のテーマは演奏する「曲=楽器編成」の違いで演奏方法は違うのか?同じなのか?というお話です。
 ヴァイオリンをレッスンで習う時「音階」「練習曲」「曲」の3種類を師匠に見て頂くことが多いのでは?私は中学・高校・大学と一人の師匠についていましたので他を知らないのですが…。もちろん、指導者によっても生徒のレベルによっても内容は違って当然です。
「教本」と呼ばれるものには少しずつ音階や練習のための短い曲、さらにコンチェルトや小品がばらばらと載せてあります。最初は「1巻」から始めて段々難しい曲が増えてくる。そんな教本が多いように思います。
 そもそも「コンチェルト=協奏曲」の独奏を一体、どれだけのヴァイオリニストが生涯で一度でも演奏するチャンスがあるでしょうか?ちなみに本来コンチェルトは「オーケストラ」と独奏者が一緒に演奏する楽器編成の音楽です。
 ピアノを習っていて小学生や中学生で「コンチェルト」のソロをレッスンで習うことは、ほとんどないと思います。例外的にコンクールで優勝するような子供がプロのオーケストラと共演する話は聴きますが全体の中で「1000人に一人」より少ないケースだと思います。
 音楽高校の入試、学内での実技試験でもピアノ科の課題に「コンチェルト」がないことを昔から「なんで?」と感じていました。逆にヴァイオリンの場合には入試でも学内での試験でも必ず「コンチェルト」の一部が指定され、カデンツァも含まれることが殆どです。
 その違いの最大の原因は?「ピアノには独奏曲がたくさんある」のに対しヴァイオリンは「ほぼすべての曲がピアノかオーケストラ、他の弦楽器などと演奏する」ことだと思います。
ヴァイオリンの無伴奏曲が少ないことは以前にも書きました。
 だから?ヴァイオリンの試験曲はコンチェルトって言うのも「なんだかなぁ」と感じるのは私だけでしょうか?
 コンチェルトの独奏以外にも「小品」と呼ばれるヴァイオリン独奏曲はたくさんあります。有名な作曲家で言えばフリッツ・クライスラーの作品。「ピアノとヴァイオリンの為のソナタ」以外にも多くの小品(演奏時間の長さも様々)がありますが、入試や学内の試験でそれらの曲を演奏することはほとんどありませんでした。「ソナタ」のレッスンは「実技」レッスンとは別に「室内楽レッスン」を受講してレッスンを受けました。
 生徒に何を求めているのか?は学校や指導者によって違う事は当然です。ヴァイオリンコンチェルトのソロが演奏できれば、大体の小品は演奏できますし「ソナタ」にしても技術的な面だけでを考えれば「演奏可能」です。

 本題になります。コンチェルトの独奏を演奏する場合とソナタや小品、室内楽を演奏する時の演奏は「何が?どう?違う」のでしょうか。
 これはピアノでも同じことが言えますが、コンチェルトの場合には「オーケストラ」が一緒に演奏するわけですからたくさんの弦楽器奏者、多くの種類の管楽器と打楽器が独奏者と同時に音を出すことになります。ポピュラー音楽なら歌手はマイクを通してアンプで増幅=大きくした音をスピーカーを通して客席に届けるので「音量のバランス」を歌手もバックバンドや演奏者が気にする必要はありません。どんな小さな声の歌手でもエレキギターやドラムの音、時にはオーケストラの音よりも大きな音で客席に響かせることが出来ます。
 クラシック音楽で「マイク・アンプ・スピーカー」を使うのは特殊な場合に限られます。

 上の映像はベルリンフィルが野外でのコンサートで大観衆に音楽を聴いてもらっている動画です。「生の音」はいかにベルリンフィルでも屋根もない・環境版もない場所で何千人もの人に聞こえる音にはなりません。当然マイクとアンプ・スピーカーが必要になります。

 マイクやスピーカーを使わずにオーケストラを「バック」にして演奏する場合、ピアノコンチェルトなら「フルコンサートグランドピアノ」と呼ばれるピアノを使用するのが一般的です。グランドピアノの中で最も大きく、当然響きも音量も豊かです。オーケストラが全員で演奏しても客席に十分な音量バランスで聞こえる音量があります。
 ヴァイオリンは?いくら「ストラディバリウスは音が大きい」「いやグヮルネリのヴァイオリンの方が…」とは言え(笑)物理的に音圧=デシベル面でも音色の面でもピアノのようには行きません。何故ならオーケストラにはコンチェルトでも20名以上のヴァイオリン奏者が同時に演奏しています。もしかするとその中にストラディバリウスやグヮルネリを使っている人も居て不思議ではありません。しかもオーケストラメンバーも「プロ」です。ソリストが演奏するヴァイオリン独奏を「ちゃらちゃら」っと演奏できるメンバーもたくさんいるはずです。
 そのオーケストラメンバーがいくら「遠慮」して弾いてもヴァイオリンソリストの音の方が「大きい」可能性は極めて低いはずです。放送や録音でソリストの音がオーケストラより大きく聴こえるのは以前にも書いた「電気的な処理」の結果です。
 音量でも音色でもオーケストラの音より「浮き上がって前面に聴こえる」演奏方法・演奏技術が必要になります。一言で言えば「オーケストラより目立つ音」です。

 小学生がレッスンや発表会でモーツァルトやブルッフ、メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトを「バリバリ」弾く姿は今時、珍しくありません。中にはシベリウス、ブラームス、チャイコフスキーのコンチェルトソロを演奏する「子供」もいます。
 では「ピアノとの二重奏」でコンチェルト独奏と同じ弾き方をする必要があるか?必然性があるか?と言うテーマになります。
 ピアノはヴァイオリンよりも大きな音量を出せる楽器です。発音の原理が全く違うので二人での演奏を聴いて「どちらの楽器の音か分からない」という事は心配する必要がありません。明らかに音色が違います。
 ヴァイオリンが「ピアノに負けないぞ!」とコンチェルトソロのように演奏する「意味」があるでしょうか?私はまったくないと考えています。
 もちろんピアニストがヴァイオリンの音に配慮して、音量と音色をコントロールしてくれたら!と言う前提条件があります。さらにヴァイオリニストもピアノの音の多さ、音域を考えた「音量と音色」を考えて演奏する技術が必要です。

 上の映像は今年1月に演奏したラフマニノフ作曲「ここは素晴らしい場所」ヴァイオリンとピアノで演奏した動画です。
 私の弾き方も浩子さんのピアノも決して「大きな音量」ではありません。かと言って「物足りない」音量だとも感じません。
 会場で「音」を聴く方にとって「ちょうどいいバランス」を考えた演奏が理想だと思っています。演奏する会場の広さ・残響の長さがすべて違います。聴く場所=座席の場所でも変わります。すべての人が「ちょうどいい」とは思えないのが現実です。好みもあります。
 少なくとも若い頃…音楽高校・音楽大学時代に実技のレッスンで私が師匠に教えて頂いた=レッスンを受けた曲で「小品」は1曲だけでした。大学5年(笑)の最後に「何か弾きなさい」と仰られて「え?え?」戸惑う私に微笑みながら「なんの曲でもいいよ」と優しくおっしゃった師匠に甘え、ヴィタリのシャコンヌを弾かせて頂いた事。
 あ!もう1曲ありました!先生!ごめんなさい!(笑)
大学2年?3年?の時にカルメンファンタジーをレッスンで教えて頂きました。
全然!弾けなかったので記憶から抹消していました。

 最後に。
曲によって演奏の仕方を変える「技術」はあります。ただ自分の理想の音を出す技術は変わりません。「コア」になる音色と・音量があり、そこからのバリエーションを作ることが「技術」です。少なくとも「ヴァイオリンコンチェルト」がヴァイオリン独奏で一番「過酷な条件」になることは事実です。だからと言ってヴァイオリンコンチェルトがヴァイオリンの魅力を最大限に表現できるものとは言えないはずです。無伴奏も、ピアノとのデュオも弦楽四重奏もそれぞれに「弾き方」を考えることがヴァイオリニストに必要な技術だと思っています。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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