演奏技術の継承

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 映像は1924年、パリ生まれのヴァイオリニストでパリ音楽院で名教授ジュール・ブーシュリに師事し、1943年、ロン=ティボー国際コンクールで優勝し、コンセルバトワールで長年ヴァイオリンを指導した「Michele Auclair~ミシェル・」オークレール」女史の演奏動画。
 学生時代、同門の優秀なヴァイオリン奏者たちが久保田先生の薦めて留学し師事した指導者でもあります。不出来の私にはそんなお話は一度もなく(笑)指をくわえて眺めていたのを覚えています。

 こちらはシャンドール・ベーグ氏の二重奏演奏動画です。ベーグ氏の公開レッスンも印象的でした。
 桐朋でヴァイオリニストの公開レッスンが頻繁に行われていました。
オークレール、ベーグなど偉大な指導者たちのレッスンがあるたびに、久保田門下生からもレッスンんを受けている人が多く、そのレッスンが終わると久保田先生は印象に残った「演奏技術」を他の生徒…私にも伝えてくださいました。


 ヴァイオリンの演奏技術に明確な「流儀」はありません。ただ指導者によって大きく違うのも事実です。それぞれに姿勢・右手(弓の持ち方やボウイング)・左手(親指の位置や指の置き方)などに個性がありました。
 音楽の解釈や細かい奏法を指示する指導者もいれば、生徒の個性を尊重する指導者もおられました。現代のヴァイオリニストたちを見ると。どうも姿勢やボウイングなどに個性が感じられなくなりました。それも時代の流れなのかもしれません。特に右腕・右手の使い方について、指導者の関りを感じられなくなった気がします。ヴァイオリニストが音を出す基本は、弓の使い方に大きなウエイトがあると感じている私にとって、演奏家の個性が薄くなってきた気がしてなりません。
 ヴィブラートの個性も指導者の「歌い方」が無意識のうちに弟子に伝承されるものです。それさえも「速くて鋭いヴィブラートが良い」とも感じられる現代のヴァイオリニストの演奏に、指導者が演奏技法を伝承する意味が薄れていく気がしてなりません。
 演奏家の個性は「基礎」の上に出来上がるものだと思います。ヴァイオリン演奏の基本をどこに置くのか?と言う問題でもあります。ヴァイオリンと言う楽器が300年以上前から変わっていないことを考えると、演奏方法を後継者に継承することも大きな意義があると思うのは老婆心なのかもしれません。
 せめて自分だけでも、師匠から習った多くの事を理解し、実行し、次の世代に継承できればと思っています。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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