映像はシューマンの「アダージョとアレグロ」2025年1月の演奏です。
ヴァイオリン、ヴィオラの演奏は多くの場合に自分以外の人と一緒に演奏します。「無伴奏」の曲はまさに一人だけ=1台の楽器だけで演奏しますが、ピアノの場合「無伴奏」って言わないのですよね。ピアノソナタと言えばピアノ一台=一人で演奏する曲になりますが「ヴァイオリンソナタ」は正確に言えば「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」がほとんどです。同じように「独奏」「独唱」の場合、「ピアノ独奏」と言えばオーケストラと一緒に演奏する「ピアノ協奏曲」の独奏=ソロを意味します。クラシック音楽をあまり聴かない方にとってわかりにくい表記だと思います。
二人で演奏することの多いヴァイオリン、ヴィオラですが「二重奏=デュオ」と呼ばれる場合と「ピアノ伴奏」と呼ばれる場合があります。ちなみに伴奏と言う言葉を調べると
伴奏(ばんそう)とは、
西洋音楽で使われる音楽用語で、主たる旋律を演奏する単数または複数の歌手や演奏者に対し、副次的な演奏をすること。(ウィキペディアより)
副次的な演奏ってなんだか曖昧ですが、主旋律を「補助する」意味ではなく主旋律と異なった「音楽」を一緒に演奏するもので「独奏」と「伴奏」があって初めて「曲」になるものえと考えます。
私は(妻も)「ピアノ伴奏」と言う表現が好きではありません。
上記の通りピアノの演奏があって音楽が完成する現実に対し「副次的」言ってしまえば「おまけ・軽視されるもの」に感じられるからです。協奏曲のオーケストラを伴奏と呼ぶ人はいません。どんなに主旋律を演奏する演奏者がうまくても一緒に演奏するオーケストラやピアニストが「へた」でも良い…とはならないはずです。
私たちはどんな曲を二人で演奏する時にも「二重奏=デュオ」と考えプログラムなどにも表記をお願いしています。
二人が共に主役であり脇役でもあるのがデュオです。それぞれが演奏するリズムが異なる部分でも二人がシンクロ=同期し続けることが求められます。お互いの楽器を演奏できる必要はありません。理解していてさえいれば自分が二人分を演奏しているのと同じように一つの音楽になります。「こう弾きたい」と言う解釈がいつも同じとは限りません。言葉で話し合って理解しあう時間も必要です。
最も重要なことは相手の音楽を尊重することです。元より違う旋律、違うリズムを同時に演奏する時に、常に相手の音楽に自分を同期させる気持ちがなければ偶然にピッタリ同期することは確率的にあり得ません。常に相手に自分を合わせる意識をお互いに持ち続けることです。
二人以上の演奏者の「時間」を同期させる方法は「視覚=相手の動きを見る」「聴覚=相手の息遣いを聴く」ことが基本です。ただ最終的に「第六感」とも言える感覚が決め手になります。相手の演奏する音楽から次の音を出す時間を「予測する」ことでもあります。練習やリハーサルの打ち合わせと違う本番の演奏は、お互いの緊張を感じます。良い意味での変化を自分に活かし反応する事が「アンサンブル」です。
違う楽器の音色が同時に響き、異なるリズム・旋律が一つの音楽になる。一人では絶対に出来ない演奏です。聴く人に自分たちの思ったバランスで聴いてもらえるか?これだけは経験でしか判断できません。
自分の音と相手の音のバランスを「想像」しながら演奏し会場の響き、楽器の状態も考えて演奏するのがコンサートです。録音なら後から修正できます。アコースティック=電気で音を増幅しない楽器の演奏ですからリアルタイムにバランスを変更できません。リハーサルはそのために行うものだと思っています。
これからも相手を思いつつ「デュオ」を続けていきたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介
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