レッスンをしている立場の私が書くと営業っぽく感じますが、
私たちプロの演奏家も、元をただせば「一人の生徒」でした。
レッスンで先生に習うことと、自学自習することの違いはなんでしょう?
ネットや書籍、教本を見るだけでも、楽器の音は出せます。曲も弾けます。
ならばレッスンを受ける必要なんてないように感じますね。
動画を見てプロの演奏技術を真似することも「できそう」に思えますね。
レッスンを受けて初めてわかることがあります。
それは、自分の演奏技術の問題点を見つけてもらえることです。
プロの真似をしたくても、どうすれば出来るのかわからないだけではありません。
自分の癖を指摘してもらいながら、自分の演奏を先生に聞いてもらう、
これだけは、独学では解決できません。
生徒さんの演奏技術を見極めて、生徒さんの出したい音、弾きたい曲を確かめながら、自宅での練習方法を伝え、次のレッスンで確認し、新しい課題を生徒さんに提示するのが私たち指導者の役割です。
指導者である私たちに求められるのは、技術とレッスン経験です。
どんなに演奏技術が高い(演奏が上手な)指導者でも、指導(レッスン)の経験が浅いと生徒さんに的確なレッスンはできません。
素晴らしい演奏家が素晴らしい指導者とは限りません。
レッスンを受ける先生を選ぶことは、とても難しいことです。
自分にあった先生であるか?はレッスンを受けてみなければわかりません。
同じ先生からレッスンを受けたからと言って、だれもが同じように上手になるとも限りません。生徒さんひとりひとり、違った環境があり、個性があるからです。
「才能の差」ではありません。どんな上手な演奏家でも違った個性があるのです。生徒さんから見れば、どんなプロもうまく見え、どんな先生も上手に演奏できるように見えます。その一人一人が異なった環境で育っているのです。みんな先生に習ってきたのです。
レッスンで指摘されたことを素直に受け止め、出来る限り自分で練習しましょう。
そしてまたレッスンを受けて、自分の練習内容が良かったのか、あるいは何が不足していたのかをまた、レッスンで教えてもらうのです。
習うだけではうまくなりません。
習ったことをできるように努力し続けることが一番大切です。
レッスンを受けることで、自分の練習の成果を確かめてもらい、これからの練習の課題を教えてもらえるのが、独学とは違う点なのです。
ぜひ、レッスンを受けてみてください。
きっと、自分ができなかったことの「理由」と出来るようになるための「道順」を教えてもらえるはずです。
野村謙介