映像は1985年のショパンコンクール。私はこの年に教員になって音楽の授業で生徒と一緒にドキュメンタリー番組を見た記憶があります。
話題をさらった「ブーニン」は当時のクラシック演奏家の中で最も人気のあるピアニストでした。今回のテーマはクラシック音楽の演奏家の「人気」について考える内容です。
人気…まさに人間が気にするから「人気」ですね。
コンサートに多くのお客様を集める「集客力」も人気のバロメーターです。コンサートの頻度=回数、地域や国、共演者、演奏会場などでも演奏家の人気が見て取れます。
一人の演奏家を中心に考えると人気がある「期間」と「人気度」が変化する人と、一定の人気で演奏活動を続ける人に分かれます。
一方で一人の聴衆から考えると自分の好きな演奏家が変わることもありますし一人の演奏家の成長=変化を楽しみ続ける聴衆もいます。
演奏をする人の数より聴く人の数の方が圧倒的に多いのは当然ですが、時代の変化と共に徐々に演奏家が増えすぎ、クラシックを聴く人が減少し続けている気がします。もちろん「演奏家」とひとくくりに出来ないようなレベルの違う演奏家たちが昔も今も存在します。強いて分類するなら「一流演奏家」と一流でない演奏家?(笑)ヴァイオリンの世界で言えば本人の意思=選択がありますが一般には「ソリスト」が頂点で「プロオーケストラメンバー」がその下の位置付けで「音楽教室やエキストラ」で生計を立てる人が底辺かも知れません。音楽大学で教える人の場合は教授、准教授、常勤講師、非常勤講師、合奏指導員と言う序列があります。
これらは人気とは別の話になりますが、いずれの場合にも演奏家としての評価が基準になります。教員の場合は本来「指導力」が基準のはずですが必ずしも指導力で学校内地位が決まる者でもないようです。
人気のある演奏家とは?人気のない演奏家とどこが違うのでしょか?
演奏者の技術は人気にどれほど関係があるでしょうか?一般の人にとって専門技術の優劣は判断できません。難しそうな曲を速く演奏していれば「じょうずな人」に感じるものです。
技術以外に何が?基準なのでしょうか?
演奏者の容姿=ビジュアルの「好み」はどうでしょうか?衣装、容姿、話し方、声なども音楽とは無関係ですが人気の基準になります。「演奏家は音楽で!」と言う考えは正論ですが
見た目の印象で人気が出ることも事実です。
演奏家が増え続ける今、演奏家として生き残るために何が出来るでしょうか?
「アイドル」をデビューさせるためには数億から時には10億円以上のお金が使われていました。1980年前後のおアイドル全盛期の話です。
毎月のように新人がデビューし、テレビや雑誌に顔を出してもら為に、事務所は莫大な広報費用を使いましtた。名前と顔を一致させてもらう事が第一。歌のうまさは問題外。歌わせてもらえる番組ならどんな深夜番組でも出演。人気が出初めたら「売り抜ける」のがプロダクションの役目でした。アイドルは「使い捨て」とも言われていた時代です。
現代でも大手の音楽事務所は存在します。スポンサー企業を募り有望と認められたアーティストの宣伝にだけ広報費用を使います。
どんな演奏家=アーティストが有望なのか?
1.話題性がある=マスコミがあおってくれるネタがある
2.演奏以外の特徴がある=年齢・経歴・ルックスなど
3.事務所の意向に服従する=自由な発信や発言はさせない
4.どんな選曲でも無難に演奏する
恐らく他にもたくさんありそうですが、何より演奏家の個性や演奏技術よりも話題性が大切です。売れなくなったら違うアーティストを売り出します。
職業=音楽家に憧れる若者の夢を叶えられる割合は全国で100人に一人=1%より遥かに少ない数です。私が音楽高校、音楽大学に通っていた時代=今から40~50年前でも毎年たくさんの音大卒業生が生まれていました。音楽大学の数自体は今と大差ありません。卒業生の人数も変わりません。むしろ少子化と不景気が原因で音大の定員割れが深刻な問題になっています。
学生の技術レベルはどう変わったでしょう?昔も今も変わらないのは「個人差が恐ろしく大きい」事です。入学できるレベルは昔より下がったと言われています。卒業に必要な知識・技術のレベルも下がったと言う声がほとんどです。「誰でも入学できて誰でも卒業できる」時代かも知れません。
うまい人=技術の優れた学生を昔と比較すると恐らく現代の方がレベルが高いと思います。違う言い方をすると音大を首席で出る人の技術は今の方が高いと言う事にもなります。音大卒業生の「平均レベル」は表しにくい面があります。各音大を卒業した「ある年」の卒業生の中で何人が?どのコンクールに?入賞したか?と言うデータは取れますが、それが平均値だとは言えません。進学塾は「何々中学合格何名」で生徒を集めますが、その数字も実際には信頼に値しません。進学塾が優秀と思われる子供と保護者に対し授業料を免除するなどして囲い込み、有名な学校を受験してもらいます。それが実状です。
先述したように「少子高齢化」「景気の低迷」「先行きの不安感」が長い期間続いています。改善される見通しがありません。企業で働く「サラリーマン」は給料が上がらない!事が大問題ですが演奏家は?
給料をくれる人=就職できる企業がない!のが実状です。
以前のブログで書いたようにコンピュータの進化と普及で演奏家の仕事は激減しました。結婚式やパーティーでの演奏の仕事も激減しました。教室で教えようにもレッスン代に使う余裕がなくなった家庭が増え習い事は真っ先に切られました。プロのオーケストラで欠員が出る可能性は年々減っています。定年年齢は変わらなくても定年ギリギリまで演奏する人が増えたことと、高い人件費=社会保障費を含むを払わなくても済む「エキストラ」でコンサートを開くオーケストラが昔よりさらに増えたこと
「多くの人に認めてもらう人気より本当に自分の演奏を喜んでくれる人を一人でも増やすこと」
「自分の演奏にこだわりを持ち続け他の演奏家との差別化を考える」
時代は変わりました。音楽が爆発的に流行することはありません。
特定の演奏家が話題になってもすぐにブームが終わります。
世界は狭くなり情報はスマホで24時間得られます。
クラシック音楽の演奏会が今後、増える可能性は極めて低い中で
自分の出来る範囲で出来る広報を行い、人との絆を大切にすることしか演奏家が絶滅せずに生きる方法はない気がします。
がんばりましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介。。
———–
コメントを残す