左手の親指を考える

このエントリーをはてなブックマークに追加

 映像はデュオリサイタル14で演奏したピアソラのカフェ・ナイトクラブをリメイクしたものです。
 今回考えるのは左手の親指について。
演奏するヴァイオリニストの体形・指の長さ・掌の大きさはすべて違います。さらに筋肉量も人によって違います。楽器の大きさは基本的にミリ単位の違いしかありません。楽器の重さや厚みも大きな違いはありません。
 つまりヴァイオリニストごとに演奏する際に使う関節・筋肉が違うことになります。自分に合った楽器の構え方や弦の押さえ方、弓の持ち方を探すことがとても大切です。その際に左手の親指は、実際に弦を押さえる4本の指以上に大きな役割を持っています。
①弦を押さえる力に反発する力
②楽器の揺れを抑える役割
この二つが親指の役割になります。
A.親指のどの部分をネックにあてるか
B.親指をあてるネックの場所
C.力の方向
この3点を意識します。
親指の指先に近い部分をネックに充てた場合、指の付け根からの「距離」が長くなるために1~4の指先を開く幅を大きくできますが、反面1~4の指先が下方向に力を加えにくくなります。言うまでもなく弦を押さえるためには、指板の「丸み」の中心に向かって力をかけるのが原則です。

一方で親指の「下=手のひら側」例えば親指の第1関節と第2関節の「中間」にネックを当てた場合、弦を押さえる1~4の指は理想的な向きで弦に置くことができます。ただし指を開くこと=1~4の指の間隔をあけることが難しくなります。
 掌が小さい人や指が比較的短い人の場合には、弦を押さえるために「開く力」を強くする必要があります。

 親指の役割は左手の5本の指の中で、実は最も重要なものです。
ネックに触れる指の場所、指の触れるネックの場所を、自分の手の大きさや筋力に合わせて探して決める必要があります。さらに親指の柔軟性は年齢と共に変わります。無理のない親指の位置を探すことは常に必要な事だと思っています。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です