映像はフリッツ・クライスラー作曲のウィーン奇想曲。デュオリサイタル5、杜のホールはしもとでの演奏です。
ヴァイオリン演奏技法の中で「少し変わった」とでもいうべき技法がいくつかあります。代表的なものでピチカート、スピッカートなどのように弓の毛で弦を擦って音を出すヴァイオリン奏法とは異なる方法で音を出す技法です。その他にフラジオレット=ハーモニクスと呼ばれる倍音を利用して演奏する奏法があります。また2本の弦を連続して演奏する奏法もある意味では特殊なものです。
本来の奏法でヴァイオリンを演奏することが最も大切な基本技術だと思います。ヴィブラートも基本的な技術の一つです。
作曲家の狙いがなんであっても、楽譜に書いてあればその指示に従って演奏するのが演奏者の役割です。中には「これ(技法)効果あるのかな」と疑問に思う指示もあります。特に重音の連続でメロディーを演奏する楽譜は「一人で二人分の演奏をする」とも考えられます。
ヴァイオリニストが二人いれば済む話(笑)もちろん、重音の良さはあります。ただその部分を単音で演奏しても…むしろ単音の方が聴いている人に美しく聴こえると感じる場合も少なくありません。
重音やフラジオレット、サルタートなどの「小技」を速い速度で演奏すると「超絶技巧だ!」と言う方もいますが私には甚だ疑問に感じます。ヴァイオリンの本来の演奏技法で美しい音・美しい旋律を演奏することこそが超絶技巧だと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介