音楽大学は生き残れるのか?

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 映像は、メリーオーケストラの演奏した「仮面舞踏会よりワルツ」です。
趣味で楽器を演奏する人と、音楽家を目指す音大生、さらに音楽大学を卒業したプロの演奏家が同じステージで音楽を楽しみ、お客様にも気軽にオーケストラの演奏を楽しんで頂いています。この空間に「プロ」「趣味」の垣根はありません。音楽は誰にとっても楽しいことを、その場の人たちが共有します

 さて、今回のテーマは以前にも少し触れた「音楽大学」についてです。
 不景気が25年間続く日本、さらにその影響で少子化がますます加速しています。そこに、コロナでさらに景気が落ち込み、ダメ押しでロシアが戦争を起こし原油や小麦の価格が激高し、一般家庭は生活苦に陥っています。
 その日本で、大学に通うための学費を「出世払い」と言う詐欺師まがいの言葉で学生に借金を負わせています。
 そんな社会情勢で、音楽大学は存続できるのでしょうか?
すでに新規学生を募集していない音楽大学も出ています。
これから、いったい幾つの音楽大学が消えていくのでしょうか?どこの音楽大学が生き残れるのでしょうか?推察します。

 学費の安さだけで考えれば、国公立大学は有利です。
もし、学費の安さだけが音楽大学の勝ちだとしたら、私立の音楽大学の高い学費でも受験し、通う学生がいることの説明がつきません。確かに、国公立大学に合格できずに「仕方なく」私立の音大に通う学生もいるのは事実です。ただ、実際には祖霊ガニの「魅力」があって私立を選ぶ「未来の音楽家」がいるのも事実です。
 音大の学費以来の「価値=魅力」はなんでしょか?

「社会が求める音楽を育てられる指導能力」に尽きろと思います。
特に大学で学生を指導する「教員」は本来、高校教員と違い「学問」を享受できる能力がなければなりません。大学を卒業して得られる学位である「学士」は単に4年間なにかを学んだというものとは違う意味を持っているはずです。
もし、大学が高校と同等の教育しかできないのであれば、それは高等専門学校「高専」です。今の音楽大学は事実上の「高専」以下の指導レベルでも「大学」と名乗っている気がします。
「学部」は何のために付けられた名称なのか?音楽学部は何を研究する場所なのか?音楽大学の必履修単位・必修得単位に音楽と無縁の科目が多すぎることに、いつ?誰が?気付くのでしょうか。

 職業として音楽を考えることさえ出来ない音大に、学生が通うはずがありません。卒業して「音楽家」になれないのは「本人=学生の力量」だから仕方ないで済ませている大学が生き残れるとは思えません。音楽家として必要な技術、能力、知識を身に着けさせることが大学の役割でなければ、ほかに何を?教えるのでしょうか。
 音大で指導している方が、演奏家・音楽家としての「技量や評価」がどうのこうのという、表面的な価値観の話ではなりません。指導者としての「資質」です。そしてそれを第一に据えた「大学経営」をする経営者が絶対に必要です。
 もとより、音楽で生計を立てることはとても難しいことです。音大を卒業して、一般大学を出た人と同じ程度の知識・技量で飯が食える…と思わせる方が間違っています。趣味で音楽を楽しむ人とは違う「技術・能力・知識」を持てなければ、音楽大学に通う意味・価値はまったくありません。
 

「レベルを上げると学生が集まらない」と言う音楽大学は、なくて構わないのです。消えて当たり前です。存在する意義がないのですから。
音楽大学のレベルは、指導者の「質」がすべてです。そしてその指導者と経営者が同じ方向を見ていない音楽大学は、遅かれ早かれ消えるでしょう。
指導者が「経営者が悪い」と言い、経営者が「指導者が悪い」と言い争う大学で、学生が音楽を学べるはずがありません。
 最期に、これからの社会が求める音楽家について書きます。
「コンクールで優勝した人」ではありません。
「音楽バカ」でもありません。
「迎合する芸人」でもありません。
音楽を知らない人が魅力を感じられる「人」であり、社会に溶け込める「人」ではないでしょうか?その人の造り出す音楽で、音楽を知らない人を幸せにできる音楽家ではないでしょうか?
 音楽は生活のエッセンスです。音楽がなくても生活はできます。音楽が加わることで、生活に潤い、ゆとり、安らぎ、リフレッシュ、笑顔が生まれる存在だと思います。クラシック音楽だから「崇高」だと勘違いするマニアは今後も生き残ると思いますが、そのごく少数の人に音楽家を支えるだけのお金もエネルギーも期待できません。高齢者でも子供でも、音楽は楽しめます。体力がなくても、病院で寝たきりになっても音楽は楽しめます。コンサートホールだけが、音楽を楽しむ場所ではないのです。
 もっと音楽を広い視野で考えるべきだと思っています。
最期までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

 

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