音楽を振り付ける

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 一つ目の動画は、中高生の演奏する「カヴァレリアルスティカーナ間奏曲」です。本来、コントラバスはオリジナル編成にありませんが指揮者(私)の一存で参加させています。子供たちの「動き」に注目して頂けると、まるで振付をしたように同じ動きをしているのが見て取れます。実際に動きを教えました(笑)単に「感情を込めたように」とか「うまそうに」という無駄な動きではないはずです。たまに見かけるアマチュアの「謎のダンス」を伴う合奏や合唱とは、意味が違います。
 音楽の流れ、重さ、拍を演奏する子供たちが「共有」するための動きと、弦楽器を演奏するうえでの身体の使い方の両面から「必要な動き」を教えたつもりです。そのことで、弓の場所や弓の速度・重さ、さらには音楽の流れを体感し他の演奏者と共有できます。

 二つ目の映像は、私と浩子さんの「クロリスに」です。
言うまでもなく、何度も何度もお互いの音を聴きながら練習し、演奏会を経験している時間を経て、合図を打ち合わせすることも、ほとんどありません。
むしろ、私の「動き」に反応して自然に音が出るのを「わざとずらす」場面があります。下の動画をご覧ください。

 お気付きでしょうか?最後の「ソ」を私がヴィオラで演奏する「合図」と「ヴィオラが音を出す時間」がずれているのを確認できるように、最後の部分だけスローにしてあります。
 ピアノには先に進んでもらい、意図的に旋律を演奏している自分のヴィオラを「遅れて」発音させています。ポピュラー音楽では良く見かける奏法です。
合図を出しながら、自分は遅れて移弦し音を出すのは、特殊な「振付」ですが、これも音楽の「スパイス」になると思います。

 ここまで凝らなくても(笑)音楽を感じて動く。動くことで演奏に必要な「速度」と「重さ」を筋肉に伝え音にする。相乗効果があります。逆に言えば、音楽と関係のない動きで、その動きによって壊される音楽もあり得ます。この点は要注意です。なんでもかんでも動けばいいわけではありません。まず、音楽を感じることです。その音楽が動く「速さ」と「重さ」を感じて、それを自分の身体の動きに置き換えることです。動かない演奏を「最高」とする演奏家もいます。以前書きました。それもその人の価値観です。
 ぜひ、音楽を感じて演奏してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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