良いヴァイオリンとは?

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kensuke01s先日、NHKでストラディヴァリの謎に迫る特集番組が放映され興味深くみました。多くのヴァイオリニストが憧れ、一度は自分の愛器として持ちたいと願うストラド。ヴァイオリン制作者にとってもこの楽器の「音」を自分の楽器で再現できないかと研究を重ね続けています。現代、CTや最新のデジタル技術で過去には「謎」であった多くのことが解明されています。天体、人体、地質学…そんな中にヴァイオリンの謎も研究対象になっています。
番組の結論として「ニスは特別な物ではなかった」「材料の木材は当時の森に生えていたスプルースであり、ストラディヴァリ<以外の精制作者も使っていたはず」「楽器を弾いた時の指向性がが斜め上方向にに強くでていること」 なにより興味深いのは、スクリーンで楽器が見えない状態で演奏した音を専門家たちでさえ、2割から5割しか「ストラディヴァリだ」と当てられないことです。 一方で、世界的ヴァイオリニストで自身もストラドを愛用しているイツァーク・パールマンを始め、多くのヴァイオリニストが「ストラディヴァリウスは特別な楽器だ」と賞賛していることです。そうなると… 良いヴァイオリン=ストラwディヴァリウスに近いヴァイオリンなのか? という疑問に突き当たります。 私の結論を言えば、演奏者が色々な楽器を弾いていく中で、もっとも弾きやすいと感じ、自分の好きな音色を出せる楽器が良い楽器だと思うのです。 自分以外の人がその音を「すばらしい」と言うか「普通のヴァイオリン」と感じるかは聞く人の主観です。好みもあります。 ましてや録音されたヴァイオリンの音は電気的にいくらでも音色、音量を加工できます。たとえばストラドの音とそっくりに音質を変えることも現代のデジタル技術なら何でもないことです。 楽器の美しさにしても、3次元のコピーとVTスキャンを使い、デジタルコピーと印刷技術(吹きつけ塗装技術)を駆使すれば、見た目も傷も重さも何もかもそっくり「ストラディヴァリウス」な楽器も作れるでしょう。職人の技術より、コンピューターで完全に制御された精密技術でヴァイオリンは作れる時代になっています。 でも! ヴァイオリンを人間が作るからおもしろい! 一つ一つの楽器に個性があるからおもしろい! 自分の楽器は世界にこの一丁しかないと思えるからうれしい! 楽器は値段で善し悪しが決まる物ではありません。 また、制作者や年代でも決まりません。 材料だけでも善し悪しは決まりません。 何よりも、演奏する人が自分の好きな音を出せる技術を研究し続け、練習して楽器と対話することが大切です。 私のヴァイオリンは私にとって世界で一番美しく、世界で一番良い音の楽器だと思っています。 /a>

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