自分に合った指使いを科学する

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 映像はチャイコフスキー作曲「ノクターン」
多くのヴァイオリン用の「楽譜」がある中で、楽譜に「指番号」「弦」「ダウンアップ」が記入されていますが、出版社によってそれぞれ違うことが多々あります。中には明らかな「ミスプリント」もあります。
 アマチュアヴァイオリニストにとって、指使いを自分で考えるのはとても難しいことです。初心者向けの教本には指使いが「指定」されている場合がほとんどです。むしろ自分で「選択」する箇所は開放弦「0」か隣の弦で「4」の指を押さえるかのどちらか…位ですよね。また、少し上達してきた人向けの教本には「セオリーと違う」指番号が書いてある場合が出てきます。例えば多くの場合なら「A線のド♯」は2=中指で押さえるのがセオリーですが、すぐ後に「E線のソ」を演奏するならド♯を3=薬指で押さえるのが「効率的」な指使いになります。
 ヴァイオリンの指使いは、ピアノの指使いより「ある意味で」複雑です。
ピアノの鍵盤88の中で「ひとつ」の鍵盤に対して、考えられる「指」は全部いくつ?答えは「10種類」です。右手・左手の指の「どれか」で「ひとつの音の高さ」を演奏します。
 一方ヴァイオリンの場合、押さえるために使う指は左手の「4本」加えて「開放弦=0」で出せる4種類の音。「なんだ!ヴァイオリンの方が全然少ないだろ!」と思われがちですが…
 ヴァイオリンのD・A・Eの3本の弦で出せる音は、それぞれ「その弦より低い=左側にある弦」でも演奏できる!わかりにくい!(笑)
 ここでは説明を省きますが、要するに「同じ高さの音を違う弦でも演奏できる」わけです。
 さらに「フラジオレット=ハーモニクス」と言う倍音を使った演奏技法でさらに「指使いの選択し」が増えます。

指使いは「個人の好み」が許される範囲がほとんどです。作曲者が「指定」するとしても「弦の種類」または「ハーモニクス」までで、どの指で押さえるか?またどの弦で演奏するか?は演奏するヴァイオリニストの「好み」で決まるものです。人によって指の動きは微妙に違います。単に鍛え方の問題だけではありません。指の長さ・指の太さ・てのひらの大きさ・てのひらの厚さ・腕の長さも人によって違います。
 さらに言えば「音色の好み」が違います。その「どれが正しい」と言うものではありません。まさに自分で考えた結果として指使いが決まるものです。
 特にポジションの移動や弦の移動=移弦しなければ演奏できないような部分では、どんな指使いが選択肢として考えられるのか?考えることが必要になります。ポジションを移動する場合でも、どの指で移動するのか?と言う選択肢も加わります。同じ音を連続して演奏する場合にでも、意図的に指を「替える」ことも技術の一つです。

 最後に私が自分で考えて指使いを決めた「ふるさと」の動画をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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