最近の研究で学習能力の高い子供たちが、幼いころにどのような習い事をしていたか?統計をとって分析した報告がありました。
一般の大学生と東京大学の学生を比較してみたところ、初めての習い事に「ピアノ」と答えた人の数(割合)が、
一般の学生=1に対し東大の学生=2.つまり、同じ人数の学生を比較すると、2倍の人数の人がピアノを最初に習ったということです。
東京大学の学生が「頭がいい」と言い切るつもりではありません。受験に必要な試験科目の学習能力について、東京大学合格者の能力が高いことは事実です。
なぜ、このような結果になるのかを分析した方もいます。
ピアノに限らず、楽器の演奏を幼い時に学ぶことで、右脳と左脳が刺激され、演奏する運動と記憶する脳の活動、さらに音を聞こうとする聴覚の発達と聞き分ける脳の働きなど、
様々な要因で楽器の演奏が幼児の運動能力と学習能力を高めているのです。
私が20年間にわたる、中学高校での教員経験でも、これは間違いないことでした。
全校生徒1200名ほどの男女共学、中高一貫普通科の学校でした。その全校生徒の中で、オーケストラを部活動として楽しんでいる生徒が、150名いました。
割合にすると12.5パーセントの生徒が楽器を毎日練習していたことになります。
その生徒たちの多くは、入学時の成績は平均的な数字でした。楽器を習ったことのある生徒もいましたが、半数ほどの生徒が楽器を弾くのは初めてという生徒たちでした。
毎日、自分で計画を立て自分の楽器を好きなだけ練習できる環境だけ整えました。
最近の部活動にみられる「毎日部活に縛られる」のとは違い、「日曜日以外、好きな時に練習できる」部活でした。
土曜日だけ、全員で合奏をすることに決めて、あとは個人で計画を立て練習していました。
それらの生徒たちの成績は、学年が上がるごとに上昇していきます。中高一貫の学校でしたので、高校受験もなく、4年目で高校生になります。「成績上位者」と「特待生」のほとんど全員がオーケストラを楽しむ生徒たちでした。
楽器を演奏することが、ただ音を出すだけで終わってしまうと、ここまでの結果は出なかったと思います。
子供たちが楽譜を読み、初めての楽器の扱いを覚え、楽譜の通りに演奏できるように自ら考え、他の生徒と励ましあい、音楽的な表現を私に求められながら、
最終的に楽譜を見ないで演奏できるレベルになったところで、大きなホールの舞台で2,000人ものお客様の前で演奏会を開く。
この繰り返しが教科の学習、さらには大学受験時にも能力を発揮していたのです。
東京大学、一橋大学、京都大学。他にも卒業生の中で最も難関大学への現役合格者が、ほとんどオーケストラの生徒でした。
音楽を習う、練習することを「楽器で音を出すこと」だけで終わらせてしまうと、学習能力は高まりません。楽譜を読み、間違えないように演奏し、指導者の要求に応えながら、さらに練習を重ねること。
ぜひ、ご自分のお子さん、お孫さんの将来のためにも、音楽を真剣に学ぶ環境を整えてあげてください。
私たちはその応援をしています。