耳に優しい音色と音楽

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 映像は、フォーレのベルシューズ「子守歌」です。
ヴァイオリンの音色が「こもった」感じの音なのは、演奏用のミュート=弱音器を駒の上に付けて演奏しているせいです。練習用に使う「消音器=サイレンサー」とは意味合い・目的が違います。ちなみに金属製の消音器を付けると、音圧=音の大きさがテレビの音量程度まで小さくなります。一方で演奏用のミュートは、「音色を変える」ための道具です。

 さて、同じ音楽=楽譜でも、演奏の仕方で聴く人の印象が変わることは言うまでもありませんね。同じ材料と調味料を使って、違う人が同じ料理を作っても、同じ味にならないことと良く似ています。料理で言えば、材料の切り方、火加減、手順、味付けが違います。ヴァイオリンの演奏で言えば、何がどう?違うのでしょうか?

 もちろん、楽器と弓で音色が大きく変わるのは当然です。
ヴァイオリニストは自分の好きな音色の楽器を使って演奏できます。
ピアニストはそうはいきませんね。会場のピアノで演奏することがほとんどです。また、高額なヴァイオリンの場合、演奏者が借りて演奏する場合が良くあります。自分の好きな楽器かどうかの選択ではありません。
 自分の好きな音色を出すためのテクニックとは?

 前回のブログで書いた「弓の毛の張り具合」もその一つです。そのほかに
・弓の速度

・弓の角度
・弓の圧力
・弓を乗せる位置=駒からの距離
・ビブラートの深さ
・ビブラートの速さ
・ビブラートをかけ始める時間
・弦を押さえる力と指の場所
・ピッチ=楽器の倍音
・グリッサンドやポルタメント
・余韻の残し方=音の終わりの弓の処理
他にも考えられますが、これらを複数組み合わせることで、音色が大きく変えられます。
聴いている人が「優しい音(音楽)」と感じる場合と、「激しい音・強い音」と感じる場合があります。言葉で表すのはとても難しいことですが、少し「対比」を書いてみます。
・太い音⇔細い音
・固い音⇔柔らかい音
・明るい音⇔暗い音
・鋭い音⇔丸い音
・つるつるした光沢のある音⇔ざらざらした音
・力強い音⇔繊細な音
・重たい音⇔軽い音
・輪郭のはっきりした音⇔ベールのかかったような音
いくらでも思いつきますが、上記の左右は「どちらもアリ!」だと思います。
綺麗⇔汚いと言うような比較ではありません。
敢えて書かなかったのが「音の大きさ」に関するものです。
だんだん強くなるとか、だんだん消えていくなどの表現は「音の大きさ」で「音色」とは違います。
 また同様に音の長さについても書きませんでしたが、実は音の長さは「音の強さ」の概念に含まれます。「音の三要素」は「音の強さ」「音の高さ」「音色」です。いまは「音色」の話です。

 演奏者の好みで曲の解釈が変わります。
同じ楽譜でも、違って聞こえるのが当たり前です。「良い・悪い」「正しい・間違っている」の問題ではありません。フォーレの子守歌ひとつでも、人によってまったく違うのが当然です。大好きなヴァイオリニスト、五嶋みどりさんのえんそうです。


 世界的なヴァイオリニストの演奏と比較する「図々しさ」は私にはありません。
ただ、人によって音楽の解釈が違うと言う話です。お許しください。
 ヴァイオリニストの音色へのこだわりは、楽器選び、弓選び、弦選び、松脂選びなどの「ハード」と演奏方法「ソフト」の両面があります。
聴く人には「一度だけの演奏」です。演奏者が、自分の好きな音色に迷いがあったり、最悪「こだわりがない」場合、演奏のうまい・へた以前に「無責任な演奏」を人に聞かせていることになると思います。
 自分の好きな音を探し求めて、試行錯誤を繰り返すのが弦楽器奏者です。
一生かけて、楽しんでいきたいと思います。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ヴァイオリニスト・ヴィオリスト 野村謙介

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